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METライブビューイング「椿姫」

Traviata_1

METライブビューイングで「椿姫」を観ました。

主演のデセイが体調不良で最終ドレスリハーサルを休み、さらにこの演目の初日も降板したというニュースがMETから入ってきていて心配をしていました。

ライブビューイング収録日にはネットラジオの中継もあるので聞いていたのですが、1幕最後の「花から花へ」などは声がかすれかけたり、高音をやっとの思いで出しているような様子が聞き取れて正直聞いていてちょっとつらかったです。
それでもホロストフスキーが非常に好調だったし、結核の病に倒れるヴィオレッタなのだから演技力に定評があるデセイで映像込みならば悪くないだろうと思ってライブビューイングに足を運びました。

やはりデセイの表現力は素晴らしかったですね。
明らかに喉の状態は良くなく、ところどころ聞いていて痛々しいのですが、それさえもヴィオレッタの痛々しさにしてしまっているところはさすが”歌う女優”
ヴィオレッタの苦しみが真に迫っていて思わず涙してしまうほど。

Traviata_3 アルフレード役のポレンザーニは、当初スチル写真を見た限りではぽっちゃりした体系もあってずいぶんオジサンぽいなと思ったのですが、素直で美しい歌声と甘く優しげな顔立ちにおっとりとした演技が加わると、世間知らずの坊っちゃんらしい風情が出てなかなかはまり役。

ホロストフスキーは絶好調で、威厳ある姿と相変わらず息の長いレガートの朗々とした歌声、特に「プロヴァンスの海と陸」にはうっとり。

でも、これまで見た椿姫の中では最高におっかないパパ・ジェルモンでした。
何しろごちゃごちゃ言う息子を張り飛ばしちゃうんですから coldsweats02

Traviata_2 このパパにひっぱたかれたときのアルフレードのリアクションが大変良かった。
叩かれた頬を抑えてほとんど涙ぐみそうな表情は 「父さんが、ぼ、僕のことを叩いた! これまで一度も叩かれたことなんてなかったのに!」というセリフが聞こえてきそう。

一方、思わず張り飛ばしちゃったパパの方もちょっと動揺している感じで、みなさん演技が細かいし上手です。

舞台上手にある大きな時計は、ヴィオレッタの残りわずかな命の時間を暗示しているのでしょうか。

前奏曲の時から舞台の上にいて、黙ってヴィオレッタを見つめている白髪の男性の存在。
ヴィオレッタが一人になるといつも彼女を見つめているその存在は、彼女の死を待っている死神を表しているのかと思ったら、最後の3幕で医者であったことが判明してちょっとびっくり。黙役で俳優が演じているのかと思ったので...歌手の方だったのですね。
医者ではありますが、やはりヴィオレッタから見ると死神でもあるのでしょうね。

賛否両論ありそうな現代演出ですが、主要な3人が歌の表現力も演技力もあるのでとても効果的。
無機質でがらんとした空間が広がるセットはヴィオレッタの孤独感が伝わってきます。
ヴィオレッタの最期はアルフレードとパパ・ジェルモンが看取るわけですが、この演出ではほんとうに最後のところで3人がばらばらに離れているのが何とも切ないですね。

twitter/punkt_ochibo

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コメント

引っ叩かれたアルフレードの表情、ナイスでしたよね!smile
連日通っていた人の話だと、後半のホロストフスキー=ジェルモンは、ここでしゃがみ込んでいたそうですよ。
お父さんの後悔も、だんだん強くなっていった?(笑)

デセイ、良かったですよね~。
声が不調でも、あれだけドラマを演じることができるんですから。
不調とはいっても、コロラトゥーラの技術はやっぱりすごくて、今まで重い声のヴィオレッタを聴くことが多かったので、音が一つ一つきちんと聴こえてくるのが新鮮でした。

投稿: 娑羅 | 2012.05.16 23:44

娑羅さん
>連日通っていた人の話だと、後半のホロストフスキー=ジェルモンは、ここでしゃがみ込んでいたそうですよ。

ほぉ~、面白いですね。
感情を押し殺せなくなってきたのでしょうか?
1幕目に比べると、2幕、3幕はこちらがドラマに引き込まれたこともありますが、声の不調があまり気にならなくなりましたものね。
デセイはやはり、表現者としてすごいと思います。

投稿: punkt | 2012.05.17 00:50

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