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METライブビューイング「エルナーニ」

Ernani_2

METライブビューイングで「エルナーニ」を観ました。

ライブビューイングの公式サイトの説明では、この込み入ったオペラのあらすじはよくわからないと思いますので、Wikipedia のあらすじの方をオススメしておきます。

ヴェルディ初期の傑作と言われていますが、ストーリーはかなり突っ込みどころがいっぱい。
同じように、今の感覚ではストーリー展開に無理があるように感じられる「トロヴァトーレ」「運命の力」と合わせて、ヴェルディの三大荒唐無稽オペラという呼び方もあるとか。

でも、歌舞伎にもこんなような今の感覚では無茶苦茶なストーリー展開はよくあることなので、音楽が素晴らしく、それを演じる歌手達が素晴らしければ無問題です。

Ernani_1 敵役のシルヴァを歌ったのはバスの重鎮フルラネット。
さすがの深みと陰影に富んだフルラネットのシルヴァはただの薄っぺらな敵役ではなく、エルヴィーラに愛情を注いでも一顧だにされない悲哀や、正体が憎い恋敵と判ってもいったん客人として自分の城に迎えると請け合ったからには国王にも引き渡すことはできないという貴族としての矜持を重厚な演技で表現していてさすが。

ホロストフスキーのスペイン国王ドン・カルロは王者の威厳があって重めの声質がこの役にぴったり。
エルヴィーラを口説いていても気品があって、常に誰よりも位取り高く傲然としているのも好し。
彼の歌の特徴の、非常に美しく滑らかなレガートと支えがしっかりした長いフレージングが素晴らしく、神聖ローマ帝国皇帝を目指す決意を表明する3幕の Gran Dio! は聞かせどころでした。

エルヴィーラにご執心の割にはエルナーニを助けたり、死刑にすると言っていたのにエルヴィーラに慈悲を乞われたらあっさりと謀反を企てた人々を赦免した上エルナーニとエルヴィーラの結婚を許したり、役の性格が最も首尾一貫していなくて説得力のある役作りは難しそうですが、カッコイイし素敵heart04だからまぁいいか、と思わせてくれるのはさすが。

ホロストフスキーは重唱も上手ですね。
ちゃんとバランスを考えた歌い方をしているので、声の溶け合い具合が絶妙。

幕間のインタビューの時に、モスクワで見ているご両親にメッセージを送らせるからとホロストフスキーの可愛らしい二人のお子さんたちが出ていましたが、お兄ちゃんは超美系ですね。お父さんよりもハンサムかも?
自慢のお子さんなんでしょう、ホロストフスキーのFacebookにも写真が載っています。

上の二人に比べるとタイトルロールのジョルダーニは少し声が不安定でむらがある感じ。
主役陣の中ではちょっと聞き劣りがしました。(このエルナーニだと、あんなに素敵な国王に王妃 crown にしてあげるからと熱心に口説かれたら、簡単になびいちゃいそう。)

この三人の男性たちを夢中にさせるヒロイン、エルヴィーラを歌うのはアンジェラ・ミード。
かねがね素晴らしい歌手だとのウワサは聞いていましたが、なるほど非常にクリアで美しい声で強さも繊細さも兼ね備えていて、しかもしっかりとしたテクニックに裏打ちされた丁寧な歌唱は素晴らしかったです。

最近の歌手の傾向からするとちょっと体型がふっくらめですが愛嬌のある顔立ちなので、あとほんの少しだけ体型を絞ることができたら鬼に金棒のような気がします。

彼女はMETのナショナル・カウンシルのオーディション出身ということで、そのオーディションのシーンも休憩の時に紹介されていましたが、ちょうど今年のナショナル・カウンシルのオーディションの決勝が終わったばかりで、METの公式サイトに今年の最終選考に勝ち残った5人が紹介されています。
現在METで活躍しているスター歌手たちの中にもこのオーディション出身者はたくさんいるようなので、未来のスターの卵たちですね。

このオペラは合唱(特に男声合唱がいいですね)も素晴らしくてとても楽しめました。

 

【おまけ】 オペラを史実と照らし合わせてもあまり意味はないかもしれませんが、このオペラに登場するスペイン国王ドン・カルロは、神聖ローマ帝国皇帝カルロ5世(スペイン国王としてはカルロス1世)で、同じくヴェルディのオペラ「ドン・カルロ」のドン・カルロのお祖父さんにあたります。
「ドン・カルロ」のフィリッポ2世(フェリペ2世)はこのカルロ5世の息子。
「ドン・カルロ」ではカルロ5世のお墓と霊?が登場します。

また、「エルナーニ」では声のバランス上、エルヴィーラを取り巻く3人の男性が、テノールのエルナーニが青年、バリトンのドン・カルロが壮年、バスのシルヴァが老年という感じになっていますが、史実ではカルロ5世が神聖ローマ帝国皇帝に選出されたのは19歳の時でした。

twitter/punkt_ochibo

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コメント

やっとレポを書き上げたので、こちらにもお邪魔することができましたcoldsweats01

私がエルヴィーラだったら、

1.国王ドン・カルロ
だいぶ差をつけて・・・
2.シルヴァ

という順番でついていっちゃいますheart
エルナーニはないなぁ~(笑)

フル様、3月にウィーンでも拝見しましたが、ホロストフスキーとの共演が続いていますね。
来年の3月はMET「ドン・カルロ」でも共演しますし。

>ホロストフスキーは重唱も上手ですね。
>ちゃんとバランスを考えた歌い方をしているので、声の溶け合い具合が絶妙。

わ!嬉しい!
そう言っていただけると本当に嬉しいです!
私も常々そう思っています。
また、重唱で聴こえてくる彼の声が好きだったりしますlovely

投稿: 娑羅 | 2012.04.02 00:47

娑羅さん
私は自分が合唱をずっとやっているものですから、どうしても重唱の部分はハーモニーやバランスが気になるんです。
いくらソリストでも自分だけ目立とうとしているような歌い方は興ざめですものね。
渾然一体となっていて、しかもそれぞれの声が聞き分けられるというのが理想ですから、ホロストフスキーの歌い方はかなりポイント高いです。
「俺が、俺が」ってなってないですもの。

投稿: punkt | 2012.04.02 01:04

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