NY旅行記:第8日目 A列車で行こう
今日は一日かけて、メトロポリタン美術館とその別館のクロイスターズを見ることにしました。
なるべく静かな環境で見たかったので、混まないうちにまずは別館のクロイスターズへ。
Times Square - 42 St.駅から 59 St. Columbus Circle に出て、ここから地下鉄のAラインに乗り換え。
この地下鉄のAラインが、デューク・エリントンのスタンダード・ナンバー Take The A Train (A列車で行こう)の A Train です。
マンハッタンを一気に北上するこの急行の地下鉄の 190th St.駅で下車。
エレベーターで地上に出た後、標識に従ってフォート・トライオン・パークを歩いていくと、木立の向こうにお城のような建物が見えてきます。
歩いて10分ほどで到着。エレベーターで駅から上がったところからバスに乗ることも可能ですが、雨も降っていなかったので歩きました。
クロイスターズの建物は、12世紀から15世紀の南フランスの修道院の廃墟などを集めてきて1つの建物として20世紀に再建したものです。
中世のキリスト教美術の素晴らしいコレクションが、当時の雰囲気を残した建物の中に飾られていて、なんとも趣があってよい感じ。
人が少なくて静かなのも修道院らしくていいですね。
ここで特に有名なのが、ユニコーンの狩りを題材にしたタペストリーの連作。
こちらでも、中学生ぐらいの生徒たちを相手にしたワークショップが行われていて、中世のお墓の彫像を前に「この騎士はジョンという騎士でした。苗字はなくてただのジョンです。どうして彼には苗字がなかったのでしょう? わかりますか?」などという質問をして生徒に意見を述べさせてました。
この正解は「当時はだれも苗字というものはなかったから。」というものなんですけれどね。
たっぷり中世の雰囲気を味わった後は、途中でお昼を食べてメトロポリタン美術館へ移動です。(写真は帰り際に撮影した夜の風景)
クロイスターズとメトロポリタン美術館は同じ日であれば入館料はどちらかで1回払うだけでOKです。
入館料を払うとメトロポリタン美術館のロゴがついた金属製のタグのようなものを渡されるので、次に入館するところ(本館ではウィング間の移動でも)で襟や胸ポケットなどの分かりやすい位置にこのタグをつけましょう。
本館では大きなクローク(無料)があるので、まず邪魔なコートや荷物は預けてしまいましょう。
この美術館はとにかく巨大なので、一日で全部見ようなどと欲張ったら大変です。
お目当ての作者や作品がある場合は、美術館のサイトのデータベースで現在どの部屋に展示されているのか部屋番号を調べてメモしておきます。(他所に貸し出されたりして展示されていない場合もあるので要注意。)
それからエントランスロビーのインフォメーションのところで館内地図をもらい、自分の目当てのセクションや部屋番号を探し、そこまでの経路を考えます。
館内の通路は迷路のようになっているところもあるので、地図上は隣の部屋でもぐるっと回らないと行きつけない場合もあります。
まずは、あらかじめ部屋番号を調べてあったフェルメールの絵のあるヨーロッパ絵画のセクションへ。
この美術館には合計5枚のフェルメール作品があって、そのうち4枚がこちらの部屋にかかっています。
日本ではフェルメールは人気があるので展覧会があると大変な大混雑ですが、名画だらけのメトロポリタン美術館では特にこの部屋が混んでいるということもなく閑散としたもの。
ゆっくりと絵を楽しむことができます。
もう一枚のフェルメールも鑑賞した後、ヨーロッパ絵画のセクションの各部屋を見て回りました。
ヨーロッパ絵画を堪能した後は、これもあらかじめ部屋番号を調べておいたジャクソン・ポロックの「秋のリズム」がある現代美術のセクションに移動します。
途中、印象派など19世紀から20世紀初頭のヨーロッパ絵画のセクションを通るのですが、今回は時間が足りないのでそこは素通り。
この「秋のリズム」は大変素晴らしかったです。
力強さと躍動感、静謐さが同居していて、ドリッピング手法で描かれたポロックの絵画の中でも特に素晴らしい名品だと思いました。
画集の写真でしかポロックの絵を見たことがなかった頃は、こんな子供のいたずらのような絵のどこが良いのだろう?と思っていたのですが、たまたまある展覧会で実物を目にしてその迫力に圧倒されてすっかり気になる画家の1人になり、今回の旅行もポロックの絵を楽しみにしていました。
(東京では、ちょうど2月10日~5月6日の日程で東京国立近代美術館で大規模なジャクソン・ポロックの回顧展があるので、こちらも要チェックです。)
ポロックの絵の前で心ゆくまでゆっくり過ごした後は、反対側のウィングにあるエジプト美術のセクションに移動しましたが、途中、豪華な部屋ごと再現したロバート・リーマン・コレクションを鑑賞しながら移動。
古代エジプト美術のセクションでは、ヴィゴの「ダイアルM」の最初の方のこのシーンでも使われている、デンデラ神殿の部屋をちょっと楽しみにしていたのですが、なにやらコンサートの準備中らしく、神殿に近づくことができなかったのがちょっと残念。
そして、メトロポリタン美術館の古代エジプト美術といえば、この美術館のマスコット(?)でもあるカバのウィリアム君!
ちょっと探しましたけど無事に発見。
この青いカバの焼き物は、大英博物館にも兄弟分みたいなのがありました。
ウィングからウィングに移動するだけでもかなりの距離で疲れてきたので、まだ時間はあるもののそろそろ帰ろうかとも思って、ミュージアムショップを覗いてみました。
いわゆるグッズのようなものは前の日に行ったロックフェラーセンターの支店とさほど変わらないように思いましたが、画集や研究書のような書籍の豊富さ、売り場の広さは特筆に値するほどすごいです。
このミュージアムショップを見ていたら日本の絵巻物の図柄らしき図録が目に留まりました。どうやら日本の絵巻物をテーマにした特別展をやっているようなのです。
日本から流出した絵巻物の名品といえばボストン美術館にある「吉備大臣入唐絵巻」が有名ですが、メトロポリタン美術館にも名品があるらしい...ということで日本美術があるウィングに行ってみることに。
ありました、ありました、”Storytelling in Japanese Art” という特別展が。
「北野天神縁起絵巻」、「酒呑童子絵巻」や「鳥獣戯画」の断簡などの絵巻物や、保元・平治の乱の屏風や一の谷・屋島合戦屏風など、物語を語っている作品を展示していてとても見応えがありました。
なかでもこの特別展のポスターにもなっている「北野天神縁起絵巻」は特に素晴らしいものでした。
展示品には英語のタイトルだけが表示されているので、それから元の日本語を推測するのもクイズみたいでちょっと面白かったです。
”The Drunken Demon” → 「酒呑童子絵巻」
”The Chronicle of the Great Peace” → 「太平記絵巻」
といった感じ。
この特別展の説明でも、日本の絵巻物、絵物語の伝統が現在の日本のマンガにつながっていると解説されていました。
夜はニューヨーク滞在最後のお楽しみ、”THE RIDE”へ。
チケット売り場&乗り場はタイムズスクエアの横のマリオット・ホテルのところにあります。
これは、大型バスに乗ってニューヨークの街中を走りながら、路上で演じられるさまざまなパフォーマンスをバスの中から鑑賞するというアトラクション。
バスの中の座席はすべて歩道の方を向いて階段状に段差がつけてあります。(写真は私の座席からの様子。)
案内役の男女二人の司会者と、”THE RIDE”という人格を持つバスそのもの(いかにも大型バスらしい(?)大変低音の声で話します。)が掛け合いをしながら街の観光ポイントも紹介し、路上にいるパフォーマー(こちらもマイクをつけていて声がバスの中に放送されるようになってます。)ともやり取りをします。
路上パフォーマンスは、一見普通の歩行者に見える人が突然パントマイムやブレイクダンスを始めたり、ミュージカルナンバーを歌ったり、コロンバス・サークルでバレエを踊るカップル(衣装には電飾!)ありといった感じ。
なんといっても面白いのは周りの通行人の反応で、突然歌いだす人がいでも見て見ないふりをする人、一緒に歌ったりする人などさまざま。いかにもニューヨークらしい反応ですね。
司会役の男女のやり取りがかなり早口の英語なのでちょっと聞きとるのは困難でしたが、パフォーマンスは十分に楽しめますし、町行く人たちのバスに対する反応も面白かったですよ。
観光案内のデータなどは座席の前にある小型の液晶モニターに表示されるのですが、最後に客席のお客さん全員一緒にモニターに映し出される歌詞をみながら ”New York, New York” を合唱して終わりでした。
楽しい日々はあっという間に終わり、後は帰国するだけ。
翌日は朝食の後、ホテルでタクシーを呼んでもらってまっすぐ空港へ。
滞りなく帰国いたしました。
~*~*~*~*~*~
≪こぼれ話≫
日本人女性としても小さい方の私はニューヨークではお子様サイズ。
ホテルのチェックインの時はカウンターが高すぎて書類の記入をするのにちょっと爪先立ち。ほとんど躍る仔馬亭のホビットの気分でした。
METの1階席後ろには立見席があって、寄りかかるためと字幕を表示するためのバーがあるのですが、どうみても私にとってはちょうど目の高さぐらい。私の場合は踏み台がなきゃダメですね。
背が低いせいでちょっと良いこともあって、ヒュー・ジャックマンのショーの後の出待ちの人だかりなどでは、後ろの人の視界を遮らず邪魔にならないせいか、わりあいすっと前に出してもらえます。
なぜか海外で街を一人で歩いているとよく道を聞かれると前にも書きましたが、今回は地元の方らしい中国系のおばさんに中国語で話しかけられてしまいました。
一言も理解できないのできょとんとしていたら、あちらも私が中国人でないことに気が付いたみたいで、なにやら謝ってましたけど。
ドラゴンって動物の種類だと何になると思いますか?
やっぱり爬虫類?
15世紀初頭のこの聖ミカエルとドラゴンの絵を描いたスペインの画家は、ドラゴンは哺乳類と考えていたみたいです。![]()
左の絵をクリックしてとっくりとご覧あれ。
ドラゴンの腹側が描かれている絵ってちょっと珍しいですよね。メトロポリタン美術館の収蔵品です。
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コメント
お忙しい中、旅行記ありがとうございます。
大充実かつ超ラッキーな旅行でホントにうらやましい
。
。
やっぱりpunktさんは下調べがちゃんとしてるから
これだけ盛り沢山な旅行ができるんですね。
punktさんと旅行したら、後をついて行くだけで良さそう
投稿: Aralis | 2012.02.14 00:25
Aralisさん
読んでくださってありがとうございます。
どうせNYに行くのだからあれもこれもと一杯押し込んでしまいました。
事前にあまり決めすぎると旅は面白くないとおっしゃる方もいますが、私は旅行は計画を立てている時がすごく楽しいんですよね。
投稿: punkt | 2012.02.14 00:52
こんばんは~
旅行記、毎回楽しく読ませていただきました。
12月のニューヨークは、相当寒いのではないかと思っていましたが、
屋内も屋外も十分満喫されたようで、うらやましいかぎりです。
私も、また行きたくなりました。
投稿: プリムラ | 2012.02.24 02:32
プリムラさん
いつも読んで下さってありがとうございます。
事前に色々と教えて頂いたことがとても役に立ちました。
ニューヨーク、私もまた行きたいです。
投稿: punkt | 2012.02.25 09:28