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METライブビューイング「ジークフリート」2回目

Siegfried_3横浜の公開時期がずれていたのを幸い、再びMETライブビューイング ニーベルングの指環 第二夜「ジークフリート」を観ました。

もともとワーグナーのオペラは苦手だったはずなんですが、アンダーからの抜擢によく応えたジェイ・ハンター・モリスのジークフリートがすっかり気に入ってしまったんです。

(11月に観たときの感想はこちら

ワーグナー歌いというとどうしてももっさりしたオジサンが多くて、どうやっても初々しい若者には見えないのがこれまででしたが、このモリスのジークフリートは17歳はちょっと無理にしても、すごく若々しくて新鮮。

がっしりとした英雄らしいたくましさと初々しさ、子供のような無邪気さと繊細さをあわせ持った自然児にちゃんと見えるので、無理やり脳内変換をしなくても物語の世界にすっと入っていけます。
リリカルな表現が優れているのも私にとってはポイントが高いです。

そして私がすっかり彼のファンになってしまったのは、幕間のこのミニドキュメンタリーがダメ押しでした。


YouTube の方で見れば高解像度でご覧いただけます。

ドレスリハーサルが進むにつれて、肉体的には大変そうで「きつい、きつい」と口に出していますが、とにかくこの大役を歌うことを心から楽しんでいるのがバンバン伝わってきて、見ているだけで思わず微笑んでしまうほど。

このビデオでもモリス本人が愛すべき人柄なのがよくわかりますが、ブリュンヒルデ役で共演のデボラ・ヴォイトさんも Twitter で

「彼って素敵でしょう? それに可愛いのよ。」

と言ってるぐらい happy01

上のミニドキュメンタリーの中で、METのゲルブ総裁がモリスのことを「若いテノール」と言いかけて、「ワーグナーテナーとしては若い」と言い直していますが、年齢を調べようとしても今一つ不明。

The New York Times の記事 ”Out of the Spotlight, Until the Met Needed a Tenor” によれば、彼は40代半ばと曖昧にした、と書かれています。

さらに、彼の故郷、テキサスのパリスの地元サイト In Paris Texas の記事”Jay Hunter Morris To Perform As Siegfried at the Met” によれば、1981-1982に地元の Paris Junior College で音楽を学んだとあるので、どうやら40代も後半のようですね。

2、3年前には直近のオペラの仕事が文字通り干上がりかかって、他の仕事を探さなくてはならないという状態になりかかったそうですが、そこからここまで来たわけですから、本人が「ジークフリート」の代役から抜擢されたこの2、3週間の出来事は超現実的で信じられない思いだ、と話しているのもなるほど。
この2週間ほどは、舞台のない夜はあれこれ考えてしまって怖くなったり辛かったりしたけれど、いざステージが始まってしまうと役に没入してしまってまったく気にならなくなるのだそうです。

 

David Henderson さんのインタビュー記事 ”Jay Hunter Morris: Watching a Star Rise Through Talent, Hard Work and Being Real” によれば、モリス本人はジークフリートのことを”Ziggy”(ジギー)と呼んでいるようです。

面白いことに、デボラ・ヴォイトさんはヴォイトさんで、ブリュンヒルデのことを”Brunny”(ブルンニー)と呼んでるみたい。

 

「神々の黄昏」の初日は今週の金曜日(日本時間では土曜日の午前中)

モリス本人も、最近はじめた Twitter でオケ合わせのあった日に、「このエリックは僕の素晴らしいホルン・ダブルなんだ。」とホルン奏者の人とのツーショットを紹介したりしてます。

METの公式サイトにアップされているインタビュー記事や、Opera News に掲載されたインタビュー記事によれば、モリスが「ジークフリート」や「神々の黄昏」の中のジークフリートを演じる上で役の性格として重要視しているのがジークフリートの純真無垢さと若さだとのこと。

でも若く見せるために素早い身のこなしというのが大変で、いまだに体が痛い。実生活では自分は早く動く方ではないのに。などと言っています。

モリスにとっては「神々の黄昏」の中のジークフリートの死のシーンが、指環の中で最も好きなシーンで、指環の勉強を始めたのも真っ先にこのシーンからだったとか。

そして、メトロポリタン・オーケストラのオーボエ奏者の方が Twitter でモリスに「死のシーンのあなたは、すごく感動的でした。」 と声をかけていたので、「神々の黄昏」を観るのがたのしみです。

NY1 Online: The New York Times Close Up(18:30頃から) でも、モリスをスタジオに呼んでインタビューをしています。

 

METでの「神々の黄昏」のライブビューイング収録日は2月11日(日本時間では12日の明け方)なので、その時のTwitter上の評判に注目ですね。

twitter/punkt_ochibo

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コメント

はじめまして

私もこのジークフリートをwowowでみて
モリス氏のファンになりました。
ニーベルングの指輪をみるのは、このmetのシリーズが
はじめて。(wowowでのライブビューイングで)
1部2部は、比較的がんばってみましたが、ジークフリー
トはがんばる必要なくその世界に引き込まれました。
この方のリリカルな歌唱と表情の豊かさ、キャラクター
になりきった演技は、5時間をあっと言う間に感じさせ
てくれました。
オペラど素人の私が、リングにはまるきっかけをつくっ
てくれました。

モリス氏についての沢山の情報をあなた様のこのブログで
知ることができて、うれしいです。
ありがとうございます。

投稿: しまりす | 2013.01.29 20:28

しまりすさん
ジェイ・ハンター・モリスのジークフリートはとっても良かったですよね。
理屈抜きでこちらに伝わってくるものがある、表現者として優れた人だと思っています。
私のブログの記事がお役に立ててなによりです。

投稿: punkt | 2013.01.29 23:09

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