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「最も美しい精神」 L'UOMO Vogue 9月号 ヴィゴのインタビュー記事

Luomo2011sep_2昨日、表紙を御紹介した L'UOMO Vogue 9月号ですが、viggo-works のこちらでさっそく、Cindaleaさん提供の雑誌のスキャン画像を載せてくださっています。

さすが男性向けファッション雑誌。
ヴィゴの写真がどれもスタイリッシュで素敵です。

紀伊國屋書店などで入手可能になると思いますが、昨日もご紹介したように表紙は2種類あるのでご注意ください。

さて、このグラビアに添えられているヴィゴのインタビュー記事ですが、こちらもさっそくviggo-worksのこちらに英訳を載せてくださっています。
非常に内容のある、とても良い記事なので、頑張って全文を御紹介します。

最も美しい精神

最初、クローネンバーグがヴィゴ・モーテンセンを ”A Dangerous Method”に巻き込もうとした時、この俳優は乗り気ではなかった。「私はフロイトが書いた物を知っていたし、こちらの方がより興味深いことに気がついていたのでユングが書いた物をずっと良く知っていた...ザビーナ・シュピールラインは名前だけを知っていた。私はこの芝居(ジョン・カールの本”A Most Dangerous Method: The Story of Jung, Freud and Sabina Spielrein”に基づくクリストファー・ハンプトンの ”Talking Cure”)は大好きだったが、このように複雑な物語にどうやって観客を引き込むことができるのか確信が持てなかった。私はデイヴィットにどちらかと言えばユングを演じる方に興味があると話した。だがともかく、個人的な理由が私に撮影にもっとたくさんの時間をかけることを妨げた。

しばらく後で、クローネンバーグは再びこれを持ち出し、私にフロイトをやって欲しいと言って、私のシーンは2週間に集中させることができると保証した。最初の障害は、私がフロイトを癌のために病弱で痩せた老人だと思っていたことだった。それどころかこの映画が描く時代には、彼は堂々とした体躯・物腰と素晴らしいドイツ語で彼自身を表現する並外れた声を持った約50歳だった。彼の考えと同じように論議を呼び革新的だったのは、それにもかかわらず彼が他の人を深く魅了する才能があって、それは人々が彼のビジョンに不可欠だというように感じさせた。彼はとても誘惑的で魅力的で、どうやって人々を引き込んで彼の見解を共有するように説得するかを知っているという種類の男だった。彼はまた人をどう利用するかも知っていた:彼はすぐにユングの才能を認め、それだけでなく、彼の支持が精神分析学にもたらす客観的な利点も良く分かっていた。ユングはアーリア人でルーテル派であり、フロイトは彼の中に、精神分析学をユダヤ人の精神構造に伝統的に備わっているひねくれた論法の退廃的な疑似科学ではなく、普遍的な学説として提起する好機を見ていた。この二人の関係は非常に複雑で、父と息子の関係を手本としていて、野心と相互の称賛と嫉妬に満ちている。彼らはお互いに高く評価し利用し合っていた。ユング以前はフロイトは争うもののいな指導者だった。ユングは彼を崇拝するが彼に挑戦する。彼らの往復書簡を読んだ後では、私にはお互いのその違いは見つからなかった - 彼らの衝突は明らかによりプライドとエゴの問題だった。最も大きな違いはユングの神秘主義への非常に大きな関心だった。フロイトは自分のユダヤ系の伝統を非常に誇りに思っていたが信心深くはなかった。彼にとって理性と経験より偉大な権威は存在しなかった。宗教が驚き、恐怖と受け身に支配された子供じみた精神の産物である一方、理性は最高裁判所のようなもので、事実を検査する合理的な方法だった。」 『ロード・オブ・ザ・リング』、クローネンバーグ監督の最も高く評価されている2本の映画と崇高な『ザ・ロード』の彼の役で有名なこの52歳の俳優は、どのような役を演じる前でも自分の役に繋がりを持つことができる何かを見出すことができるかどうかを自問する。「そう、私のフロイトとの同一化のきっかけとなったのは、とてもドライで切れる彼の素晴らしいユーモアのセンスの発見だった。私は撮影の前に、フロイトが学術的なものは別にして、どのようなものを読んでいたのかちょっと調査しようとウィーンへ行った。そして私は彼が読んでいた風刺の文章の初版本を何冊か見つけた。別の、私にとっての解釈の鍵は普遍的なテーマ - 父親に嘘をつくすべての息子は問題だということだった。また私はクローネンバーグが信頼しているメイクアップ・アーチストのステファン・デュピュイとフロイトの顔、彼の歩き方、彼の身の置き方を見つけるためにたくさんの仕事をした。これはミヒャエル・ファスベンダーにとってはより困難だっただろう。なぜならユングは他の人たちよりもずっと長生きをして、人々は彼のことをとても歳とったものとして記憶しているからだ。

私はこの映画が、ザビーナ・シュピールラインによってなされた精神分析学への最初の貢献に対して注意を引く役にたって欲しいと思っている。フロイトは一通りはそれを認めている。(「快原則の彼岸」の中で逆転移と死の欲動の概念に対する彼女の貢献に言及している。)ザビーナはフロイトと仕事をするためにウィーンへ行き、彼らは境界線のない知的な関係を築いた。戦後、彼女はロシアに戻り、子供たちについて仕事をし始めた。男性たちに支配されている世界の中で、1人の女性は無限に強くなければならず、彼女自身を強固にしようと決心する必要があった。キーラ・ナイトレイはザビーナとして並外れている。彼女がイタリアでどのように理解されているかは知らないが、私にはイギリスの報道陣たちは彼女を退けるのが速すぎるように思える。この映画は間違いなく、彼女がすでに他の場所で実証してきた才能の見本だと思っている。彼女の演技が強烈でやり過ぎだと言う人がでそうなヒステリーのシーンがある。私はそれよりもむしろそれに途方もない精神の強さを見出した。俳優たちの間の感情は行動と反応に基づいていて、彼女は人にとても強い反応を引き起こすのだ。」”A Dangerous Method”は『ヒストリー・オブ・バイオレンス』と、この俳優がオスカーのノミネーションを受けた『イースタン・プロミス』の後の、3度目のクローネンバーグとモーテンセンのコラボレーションである。「何もまだはっきりとはしていないけれど、私は私たちが『イースタン・プロミス』の続編をやることを望んでいる。普通は、『ゴッドファーザー』を除けば、続編はあまり上手くいかないが、この場合はそのエンディングは開いたままでたくさんの可能性がある:ニコライは警察官としてとマフィア組織の幹部という二つの彼の役の中でどうするのだろうか? 彼とヴァンサン・カッセルの間には何が起こるのか? 彼のナオミ・ワッツとの関係に何か起こる可能性はあるのだろうか? 彼は彼女を利用するとともに彼女を守ってきた...

フロイトを研究していく中で、私はクローネンバーグとのたくさんの類似点を発見した。デイヴィッドがこれをどう見ているかは知らないが、私のフロイトを作り上げるモデルとして私は彼を使っていることに自分自身で気がついた。フロイトは絶えず自分自身を新たに作り出していて、彼の理論はスキャンダラスで革新的で危険だ。だが日常生活では彼は非難されるところのない家庭的な男で、中流階級の典型的な一員だ。同じことが、たくさんの心を掻き乱す映画を作り、常に衝動、欲望、抑え込まれた攻撃性と性衝動を研究し、いつも身体性に取りつかれているクローネンバーグにも当てはまる。それにもかかわらず、もしも彼と話をすると、彼は偉大なユーモアのセンスがあって、出来うる限り穏やかで、無邪気なのだ。彼は決して落ち着かない性格という印象を与えようとはしない。彼は最も小さな細部や、あなたの仕事の最も繊細なニュアンスを称賛することができるであろう種類の人なので、彼との撮影はとても魅惑的だ。最初、彼の映画は普通で見慣れたもののように見えるが、それらはいつもすぐわかるほどに彼のものだ - 彼には顔や細部のフレーミングのやり方があって、それは間違いなく彼のものだ。『イースタン・プロミス』では、彼はすべてのシーンにこのキャラクターは秘密だらけだという感じを染み込ませようとした...フロイトとユングでは、この様相がもっとさらにとなって、言葉の流れの下にそれを、何か異なるものを感じることができる...フロイトはシャルコーの下で研究し、そうして人は何かを長い間観察しなければならないと知り、それから彼はそれが話しかけてくるようになる前に繰り返し繰り返し観察した。フロイトは仕事中毒で、人々が話していること”の下に”何かあるものの覆いを取るまで、常に人々を研究し続ける探偵だ。いや、この映画の準備のために分析を受ける必要性は感じなかった。私にとってフロイトは科学者であるのと同じように芸術家で - 彼自身そう思っていた - だから私は芸術家の複雑さを捕えようとした。」 モーテンセンはイラクとアフガニスタンの戦争に反対することへの関与と、ブッシュ陣営を批判する人として知られている。「みんながオバマを選出した時は喜んだが、それでもなお今でも私たちが遭遇するかもしれない災害について、コペンハーゲンで立証されたような環境問題から、アメリカ帝国の減退に関係したことまで心配している。人々は私を悲観的だというが、それは真実ではない。私は気づいているのだ。インターネットの普及は人々にかつてないほど多くの情報を与えるという考えを導く。そうではない。人々はスキャンダルと堕落にうんざりして、これまでになく知ろうとしなくなったのだ。」

フロイトの役作りの時に、実はちょっとクローネンバーグ監督をモデルにしている、なんていう話は面白いですね。
ヴィゴもこの映画のための役作りの過程で、フロイトやユングに対してずいぶん新しい発見があったようですね。ますますこの映画が楽しみ。

そして、今までヴィゴはあまり乗り気ではないのかも? という感じもした「イースタン・プロミス」の続編ですが、今ではヴィゴもやりたいと思っているということが解って良かった! 監督も、ヴァンサン・カッセルも、みなさん乗り気のようですから、後は資金が見つかれば...ということでしょうか。
続編はぜひお願いします。

twitter/punkt_ochibo

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コメント

早速、長文の翻訳ありがとうございますhappy01
フロイトの役作りの話、面白かったです。
いよいよヴェネチア映画祭が始まりますが
記者会見でもどんな話が飛び出すか楽しみです。
記者の方たちがまともな質問をしてくれますように!

この雑誌、たぶん監督のインタビューも載ってるんですよね?
監督は何を話してるんでしょうねsmile
EPの続編の製作、ぜひぜひお願いしたいですheart04

投稿: Aralis | 2011.09.02 08:30

翻訳ありがとうございます。

>彼らの衝突は明らかによりプライドとエゴの問題だった。
なんていうのは、刺激的ですね。

そして、監督がモデルですか(*^^*)
ヴェネツィアでも、楽しそうな二人が見られて幸せです。

投稿: mizea | 2011.09.03 14:11

Aralisさん
ようやく記者会見記事の抜粋をまとめました。
情報の洪水に押し流されかかって全部追い切れてません。
役作りの話などは、このインタビューの方が内容ありみたいですね。

mizeaさん
ヴェネツィアに突入しちゃいましたね。
ちょっと忙しくしていたら、案の定遅れをとってしまいました。
トロントが始まる前に、なんとか追いつきたいものです。

投稿: punkt | 2011.09.03 23:35

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