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"A Dangerous Method”:デイヴィッド・クローネンバーグの穏やかな物腰と挑発的な映画たち

Thr2011sep16業界誌、The Hollywood Reporter の9月16日号はトロント特集号とのことで、表紙はご覧のとおり ”A Dangerous Method” のみなさん。

The Hollywood Reporter のサイトにアップされた、この号のカバーストーリーが、クローネンバーグ監督のインタビューを中心にした(ところどころヴィゴのコメントもはいってます)、非常に読み応えのある面白い記事でした。

非常に長いものなのですが、初耳の新事実もあるので、面白そうなところを抜粋してご紹介します。

"A Dangerous Method”:デイヴィッド・クローネンバーグの穏やかな物腰と挑発的な映画たち

2010年の早い時期に、カール・ユングの愛人、シグムント・フロイトの信奉者にして二人の男たちの患者であるザビーナ・シュピールラインの現実の物語である ”A Dagerous Method”を撮影するという、デイヴィッド・クローネンバーグの夢は止まってしまった。

このカナダ人監督は、クローネンバーグに自分をキャスティングするように要請していたにもかかわらず、より予算額の大きい「サーカス像に水を」の撮影のために、クリストフ・ヴァルツがフロイトを演じることから手を引いたことを電子メールで知った。

この映画からスターが抜けるのは2度目で(1年前、クリスチャン・ベールがユング役から撤退した)、ほとんどの監督たちの動悸を早めるであろう激変といったたぐのことだった。だがクローネンバーグはそうではなかた。

「ヴァルツはさらうように連れて行かれ、ベールは逃げ出した。("Waltz waltzed, and Bale bailed")」と彼はジョークを飛ばした。

ヴァルツが「サーカス象に水を」を選んで降板したので、ヴィゴがピンチヒッターだったことは知っていましたが、クリスチャン・ベールが当初ユング役だったというのは初耳でした。

ベールとヴァルツでは、だいぶ今とは違った感じになりそうですね。

THRの批評家、トッド・マッカーシーはこの映画を「緻密、明快で、スリルを感じさせるほど統制がとれた。」と呼び、それに「息をのむほど人間の中にある劇的な二重性を含んでいる。」と付け加えた。

このトッド・マッカーシー、「ザ・ロード」については Variety に非常に低評価の批評を書いてくれて、「ザ・ロード」の滑り出しにかなり悪影響をおよぼしてくれちゃっと批評家なんですが、今回は大絶賛です。

次は、クローネンバーグ監督のこれまでの評判と、作品と実際の人柄とのギャップについて。

彼の「むかつくような」作品に対してカナダの議会で非難され、批評家アレクサンダー・ウォーカーに映画の制作について「邪悪の境界を越えた」とこきおろされ(1996年の「クラッシュ」)、人間の頭の爆発を見せること(1981年の「スキャナーズ」)とヴァギナのような口のある胃(1983年の「ビデオドローム」)でホラー映画について悪名高くなり、ほぼ間違いなく、ラース・フォン・トリアーを除いて、私たちの時代における最も人を挑発する、恥知らずな監督というこの男が、実生活は育ちの良さの典型なのだ。

彼の映画がこんなにも問題を抱えているので、オスカー受賞監督のマーティン・スコセッシが会うのを怖がったのと同じ人物なのだ。「彼は怯えていたと言っていたよ。」とクローネンバーグは思い出していた。「彼は真剣だった。彼は『デビッド・クローネンバーグのシーバース』と『ラビッド』を見ていて、あれらは破壊的だと考えたんだ。私は『マーティ、君は「タクシー・ドライバー」を作った男じゃないか』と言ったんだ。」

作品から受ける印象とはぜんぜん違って、監督本人は穏やかな人だというのはあちこちで目にします。
それにしてもスコセッシが会うのを怖がったというのはちょっと面白いですね。

今や、彼は彼の最初の世紀末前後のドラマに躍進し、”A Dangerous Method”は、その最もショッキングな価値はフロイトとユングの私生活の実態の中にあるという、ほとんど古典的な時代物作品である。

だれもつぶれた車のなかでセックスしないし、気味の悪い双子はいないし、巨大なムカデや彼らの妻を撃つ夫たちもいない。この中では、3人の知的な巨人たちが複雑な関係の中にくぎ付けになる。

「これは基本的に、とても知的で、記憶に留めてもらい有名になるという野心のある、そしておそらく偏執的という点が弱点であろう人々についてのものだ。」とモーテンセンは意見を述べた。「デイヴィッドはアカデミックであることを敬遠しなかった。」

実際、クリストファー・ハンプトンの脚本に基づいたこの映画は、クローネンバーグの作品の中では最も深く考えていて、プロデューサーのジェレミー・トーマスが "教授" と呼ぶ男の、ここ何十年間もそうだった彼の黙想的な人物像に最も近いのかもしれない。

「私はいつも知的だったよ。」と、トロント大学の科学の学生から英文学に変更して、彼の短編で賞を取り、彼のお気に入りの映画制作者の中らフェリーニとブニュエルを引用するこの監督は言う。「私は知性に訴える方で、少しばかり傲慢だった。でもあちらからこちらへ、完全になめらかにつながっていると感じている。」

クローネンバーグ監督が、脚本のハンプトンに、一緒に映画の仕事をして欲しいと言ったときに、ハンプトン半分は自分自身で監督したいと考えていたことと、半分は脚本に着手する前に別の契約があったことからちょっとためらったようです。

シュピールラインの物語に興味を持った映画制作者はクローネンバーグが最初ではなかった。ドキュメンタリーや伝記映画に加えて、 20th Century Fox が時流に乗って、映画の脚本を書くように委託し、さらにハンプトンが芝居を書く前、ザビーナはジュリア・ロバーツに向けてだった。

「彼らはこれを見ると」とクローネンバーグは顔をしかめて言及した。「彼らは『ジュリアにこれをやらせる方法はないよ!』と言った。」実際、この脚本は裸と本格的な狂気のエピソードを含んでいた。

ザビーナ役にジュリア・ロバーツ? もうあり得ないキャスティングという気がしますが...
ハンプトンがクローネンバーグのために書いた脚本は、Fox のために彼が書いたものとは大幅に違うものになったそうです。そして最終的に、クローネンバーグは94ページあった脚本を80ページにまで刈り込んだとのこと。

ベールの退場と、それに続くヴァルツの退場はどうしようもなかった。

謝るために彼に直に電話してきて公式にはまだ参加していずに手を引いた前者については、クローネンバーグはより理解を示した。だがヴァルツについては、この監督の柔らかさはもっとも小さなものでさえ振り落とされた。

「クリストフはこのプロジェクトを追い求めていたんだ。」と彼は説明した。「彼はフロイト役に自分を採用することを私に説得するために私のところに来た。彼の祖父はフロイトの教え子の一人だった。『イングロリアス・バスターズ』の後、すべてのドイツのお金は彼の周りに積み上げられて、彼が手を引くと、多くのお金が同じように去って行った。」

それでも彼は言う、「私は以前にもこういうことを通り抜けてきた。私がやったもので、何かこんなようなことが起こらなかった映画はないんだ。」

ファスベンダーがベールの代わりにユングとして参加し、ナイトレイがザビーナにキャスティングされると、クローネンバーグはモーテンセンに電話して、彼が当初は「私の両親の健康問題に対処することと、自分自身がフロイトを演じることの想像がつかなかったので。」とこの俳優が言うように断った、フロイトの役をやってくれるように彼に要請した。

今度は彼は承諾した。「このフロイトは、ほとんどの人々が慣れているとても弱々しく病気に苦しんでいる老人ではない。」と彼は説明した。「彼は50歳でまったく頑健だった。」

モーテンセンは彼が上手くやってのけることができると信じ、この監督はそのようにやった。「あれはキャスティングの魔法なんだ。」とクローネンバーグは冗談を言った。「これは黒魔術の1つなんだ。」

自分から出してくれといっておきながら、別にちょっといい話があるとあっさりバイバイというのはねぇ。
その割には「サーカス象に水を」は賞レースとはからみそうにない4月公開でしたし、作品の評価は悪くはないようですが、あまり話題になっているようには見えませんね。

この後には、クローネンバーグ監督が映画制作の過程で経験し乗り越えてきた様々な障害や悪夢の話(テッド・ターナーが「クラッシュ」を嫌って、あらゆる手を使ってリリースを邪魔しようとしたというすごい話も。)などがたくさん続きます。

twitter/punkt_ochibo

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