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METライブビューイング「ワルキューレ」

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今シーズンのMETライブビューイングのラスト、ニーベルングの指環「ワルキューレ」を観てきました。

ワーグナー作品はどれも大長編ですが、この「ワルキューレ」も2回の休憩時間を含む上映時間が5時間20分近く。
音楽も非常にへヴィーだし、ずっと昔にNHKで放送された指環全4作品を観たことがあるのですが、あまり面白いと思わなかったこともあって、当初は今回もパスと思っていました。

でも、ヨナス・カウフマンが初役でジークムントを歌うというのはちょっと興味がわきました。
ヨナス・カウフマンが絶大な人気があることは良く知っていたものの、まだちゃんと声を聴いたことがなかったんです。

今回のメトロポリタンの来日公演で「ドン・カルロ」を歌うはずだったので、生で聴けるとちょっと楽しみだったのに、さっさとキャンセルされてしまいましたしね。
せめてライブ・ビューイングででも見ますか、ということで気合を入れて行ってきました。

行って大正解でした。
とっても面白くて、5時間20分弱はあっという間でした。

初めて聞くカウフマンは、そのヒロイックな声がジークムントにぴったりで、恵まれた容姿と演技力で物語の世界にすぐに連れて行ってくれました。
ジークリンデ役のヴェストブルックさんとの相性も良く、素敵なカップルでした。

 

Walkure1

でも私が一番心を動かされたのは、ブリン・ターフェルの神々の長ヴォータンとデボラ・ヴォイトのブリュンヒルデの父娘。

娘であるワルキューレたちの中でも一番のお気に入りのブリュンヒルデが自分の命令に背いたことに対する激しい怒りと、彼女と永遠に別れなければならない悲しみ。

ちょっと神々しさに欠け人情味あふれ過ぎと思われる方もいるかもしれませんが、私はターフェルのちょっと温かみのある歌と演技は好きです。

対するデボラ・ヴォイトも、元気いっぱいの娘らしい雰囲気から、ジークムントとジークリンデの必死の愛に心を動かされるさま。
父なる神に背いたことによって、取り返しのつかない罰を受けることになった心の動揺。
父への溢れるような愛情などが豊かに表現されていて心打たれました。

他にはヴォータンの妻である女神フリッカ役のステファニー・ブライズが凄かったです。特に中低音の力強い響きが、ヴォータンもやり込められてしまう迫力十分。

フンディング役のハンス・ペーター・ケーニッヒも素晴らしいバスですね。

 

今シーズンの指環シリーズ新演出の目玉、巨大セットの ”ザ・マシン” については、巨大映像スクリーンの役目を果たすわけですが、第1幕での森の描写が秀逸でした。
面白かったのは幕間のインタビューによると、この装置、歌手たちにとっては反響版の役目を果たして音響が良いらしいということ。
なるほど、鋼鉄の箱を並べたようなものですから、これを後ろに壁のように立てれば良い反響版になるのでしょう。

時間もとても長いし、料金も通常のライブビューイングよりも高いものですが、見る価値はあると思いますよ。

twitter/punkt_ochibo

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