« ショーン・ビーンの新作、今度は連続TVドラマ | トップページ | おそらくヴィゴはヴェネチア映画祭に出席します »

ルネ・パーペとダニエル・バレンボイムの対談記事より

20110417pape4月17日に、ドイツの FAZ.net に掲載された、ダニエル・バレンボイムとルネ・パーペの対談記事がとても面白かったので、その抜粋をご紹介します。

最後にちょっとだけ、プラシド・ドミンゴの話しも出てきます。

ドイツ語の記事を、英語への自動翻訳をかけたものを参考にドイツ語の辞書も動員して日本語にしたので、間違いもいろいろあると思いますが、とりあえず。

対談:ダニエル・バレンボイムとルネ・パーペ
ヴォータンとそのゴッドファーザー

今晩、ベルリンのシラー劇場で、リヒャルト・ワーグナーの「ワルキューレ」が上演される。ダニエル・バレンボイム(68)が指揮し、ルネ・パーペ(46) が初めてヴォータンを歌う。2人がお互いに会ったのは20年前、バレンボイムがベルリン国立歌劇場を引き受けたときであった。最近でも、彼らはまだ同じレ コード会社に所属している。ドイツ・グラムフォンの初めて彼らが一緒のリヒャルト・ワーグナーのアルバムは、ヴォータン、ザックス、ヴォルフラム、グルネマンツといった、全て偉大なバス-バリトンの役に捧げられている。

なぜあたなはよりにもよって、ワーグナーの中で最も短い役、2分半の「マイスタージンガー」の夜警の歌を録音したのですか?

パーペ : だれもレコードのためには歌わない曲だとわかってますよ! でも思い出のためにやる必要がありました。 夜警は私の一番最初のワーグナーの役だったのです...

20年前、(バレン ボイムが)リンデン・オーパー(ベルリン国立歌劇場)を引き受けた時に、あなたはすでにアンサンブルのメンバーでしたね。ドレスデン出身のとても若いバリ トン。今ではバレンボイムはあなたにとって何なのでしょう? 今でもある種のパパですか? ゴッドファーザー? 教皇? それともむしろ古い友人でしょうか?

バレンボイム : 私はしばらくあっちに行っているべきかな?

パーペ : そう、名前によればそもそも私自身が教皇なのだけれど。(訳注:Pape とはフランス語だと教皇のこと。ちなみにファーストネームの René もフランス風の名前のようですね。ともかく、ダニエルは私にとって権威ですね。私のキャリアの中で最も長く一緒だった人です。彼は繰り返し、私がたくさんの断崖を越えるのを手伝ってくれま した。どのようにそれが上手くいかないか、あるいはどうできるのか教えてくれたのです。今は言葉では表せない友情が生まれていますね。

それでは、あなたたちの間でどのようにそれははたらくのですか? 言葉にならないとしても?

バレンボイム : 「はたらく」という言葉は適切ではないね。技術的、音楽的な能力がある人たちが一緒に音楽を創る時、とりわけ他の人がどのように考えているかを学ばなければならない。ルネは私がどのように考えているかを知る必要があるし、私は彼がどのように思っているか理解する必要がある。そして2人がまったく同じよ うに思ったときに初めて音楽を創ることができる。そしてこれは私たち2人だけでなく、オーケストラ全体についてもあてはまる。日曜日の午後に、私たちが 「ワルキューレ」を始める時に、楽団のすべての音楽家たちはまさに私と同じだとあなたが思うだろうと断言しよう。そしてそれは4時間半か5時間続くのだ。 そしてやり損ねは問題ではないのだ。あっちにきしみがあったり、こっちに濁りがあったり、そんなことは問題ではない。みんなが良く考えなければ、たとえ傷のないものだったとしても、それは間違っている。それはもはや説得力あるようには響かない。

そして話題はバレンボイムがリンデンの音楽監督になった頃、2人の出会いの頃の話になります。

それで、新しいドレスデンのバリトンはどうでしたか?

バレンボイム : リンデン・オーパーには素晴らしい芸術家がいた、例えばペーター・シュライアー。そしてルネ。彼はまだとても若かった。でも私はすでにパーペの名前は 知っていた。ゲオルグ・ショルティに聞いてね。彼は私に言ったんだ: 見てくれ、ベルリンには素晴らしい若いバスがいるんだ...

パーペ : そうです、ゲオルグ・ショルティは私の最初の偉大な良き師でした。彼が別のザラストロを探しているという電話がかかってきた後、私たちはウィーンで知り合いになったのです。あれは1990年、私はロンドンに飛んでいきました。私の最初の大きな旅行。私は一度もロンドンに行ったことがなく、コベント・ガーデ ンに行ったこともなく、ちゃんとした英語を話すことすらできませんでした。それに私はそのころは深みも何もなかったと思います。でも私は失わなかった! 私がザラストロのアリアを2曲歌った後、ショルティが舞台に来て言ったのです。「ルネ、きみはザルツブルク史上最も若いザラストロになるだろう。」私はあ まりに嬉しかったので舞台の上でトンボ返りをして、でっかい笑みを顔に浮かべて車で家に帰りました。これが始まりでした。私たちはさらに7年間、一緒に音楽を作りました。そしてダニエルが来たのです。

それでもあなたは最も若いヴォータンでしょう、少なくともそのように聞こえます。あなたの声はバスですがまだとても若く聞こえます。あなたのヴォータンは通常の威厳のある神々の父ではなく、若い男性のように見えますね。あなたはこの役をどのように見ていますか?

パーペ : 私は歌いますよ!  どこかにヴォータンが何歳かと書かれているとしても。 ただ身に沁みついた聴くこととしっかり見る習慣があるだけです。そして私が若かろうが年をとっていようが、今はバスでもある。だから、私の娘が私の母親を演じることができるように、舞台上では早くから父親を演じる必要がありました。劇場ではそうなのです。

そして、テキストは非常に明瞭ですね。

バレンボイム : 読解力はワーグナーの問題のただ一方の見方でしかない。もちろん、歌手は「死」や「愛」が何を意味しているか知っている必要がある。だがより重要なことは、音に彩色するように、音楽と音節の正しい融合なのだ。ルネは私と始めるることから学んだ。そして私はそれをフィッシャー・ディスカウから学んだと言わなければならない。私が若かったとき、私は彼のピアノの伴奏をした。フィッシャー・ディスカウはいつも「違う、違う。君はここでは子音を待たなくちゃいけない! 君は母音に合わせて弾かなければいけない!」と言っていた。ピアニストがひとりでに学ばなければならないことを知っているということはない。フィッシャー・ディスカウはこのアーティキュレーションを高い芸術に押し上げた。彼は、テキストの聞き取りやすさをとても明瞭に際立たせるという考え方の最初の人だった。そして私は一緒に仕事をした歌手たちにこれを伝えようとしてきた。彼らはいつも、声はドライでなければならない、そうすればすべての言葉を理解できると言う。これは馬鹿げている! 声がドライな歌手だったらあなたは理解できないだろうし、このルネのようにクリーミーでまろやかな声の歌手だったならすべてを理解できるだろう。

パーペがザルツブルグ音楽祭に魔笛のザラストロでデビューしたのが1991年で、なんと26歳。
ザラストロといえば長老のイメージですから、びっくりするほど若いザラストロですよね。
それにしても、今のどっしりしたパーペからはトンボ返りなんて想像もつきませんが...coldsweats01

ちなみに YouTubeのこちらにすご~く若い頃のパーペのビデオクリップがあるのですが、Vocal Competition とあるので調べて見たところ、1989年のミリアム・ヘリン国際声楽コンクールに優勝した時のもののようです。
公式サイトにもその時の写真がありました

この後、劇場の大きさについてやワーグナーについて、あるいはバイロイトについての話題がでているのですがそこはバッサリと省略。オマケのような最後の部分だけをご紹介しておきます。

あなた方お二人はここで1時間、煙突のようにタバコを吸っていますね。シュミット元首相以外で、間違ってこんなに素晴らしく許されるのはあなた方だけですよ。でも彼は歌いませんからね。どうやったら歌手のようにタバコを吸えるのでしょうか?

パーペ : 質問を反対にする必要があるね。どうやったら喫煙者のようにたくさん歌えるのか?

バ レンボイム : フランツ・マツーラはすいぶんたくさんタバコを吸っていたが、バイロイトで長年クリングゾルを歌っていた。「パルジファル」の第1幕の後、休憩時間に食堂 に行くと、フランツが座って次から次へとタバコを吸っていた。私が、フランツ、何をしているんだい? と言うと、彼は、私は喫煙者なんだと言った。

パーペ : それじゃあこれは、「ヴォーカライジング(ヴォカリーズ:母音唱法で歌うこと)」じゃなくて「スモークライジング」だね。

あなたがテノールだったら面白がっていられませんよ。あなたには簡単に話すことのできる低い声がありますから。

パーペ : 何人のテノールのがこっそりタバコを吸っているかなにか知ってますか?

バレンボイム : 秘密にという意味かね? 私はよくプラシド・ドミンゴと素敵な一服を吸っているよ。もちろん、彼が何も歌わないときにだけれどね。

パーペがタバコを吸っていることはかなり有名らしいので、こんな話になるようです。
しかしノドが一番大事な歌手がいいのかなぁ。

|

« ショーン・ビーンの新作、今度は連続TVドラマ | トップページ | おそらくヴィゴはヴェネチア映画祭に出席します »

Rene Pape」カテゴリの記事

オペラ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ショーン・ビーンの新作、今度は連続TVドラマ | トップページ | おそらくヴィゴはヴェネチア映画祭に出席します »