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3人の詩人の恋

2月のルネ・パーペのリサイタルを聞いてから、すっかりシューマンの「詩人の恋」にはまってしまいました。

B002HEW5RS大のお気に入りのもう1人、サイモン・キーンリーサイド(バリトン)の「詩人の恋」のCDも手に入れたし、パーペのリサイタルは4月にNHK FMで全曲放送してくれたので、こちらも録音することができました。

バリトン版とバス版の両方を聴き込んでくると、こんどはオリジナルであるテノール版も欲しくなってきました。

B004LPHWGAそんなタイミングで、サライの6月号にルネ・パーペの記事が載りました。
記事は、パーペ自身がオススメのCDを紹介するというもので、先日出たばかりの自身のワーグナーのアリア集も宣伝していましたが、そこで触れられていたのがドイツの名テノール、36歳の若さで亡くなったフリッツ・ヴンダーリヒのラスト・リサイタルのCDをよく聴いているとのこと。フレージングやドイツ語の発音などが、ドイツ語で歌うお手本なのだそうです。

私は知らなかったのですが、調べてみるとフリッツ・ヴンダーリヒが亡くなったのは1966年で、20世紀最大のテノール・リリコとも、パヴァロッティが歴史上最も傑出したテノールだと言っていたとか...

B0030AHBP4Amazonで検索すると、復刻版のCDが実にたくさんありました。
そしてその中に「詩人の恋」を発見。
しかも、カップリングされているシューベルトの歌曲のなかに、先日のリサイタルでパーペが歌った曲が3曲もあるではありませんか。

これはぜひ聴き比べてみなければとさっそく入手しました。

最初のうちは、パーペ、キーンリーサイド、ヴンダーリヒとそれぞれ16曲ずつ通して聴いていたのですが、どうせ iTines や iPod に取り込んだのだから、と16曲を1曲ずつ、ヴンダーリヒ、キーンリーサイド、パーペと並べた再生リストを作成。

1曲ずつ聴き比べをしながら進んでいくように並べ替えてみました。

邪道な聴き方なのですが、これが非常に面白い。

なるほど、フリッツ・ヴンダーリヒの声は細く澄んだ歌声で、高音が実に柔らかく軽やか。
録音は1965年か1966年ということですから、35歳か36歳でしょうか。

ヴンダーリヒが歌う「詩人の恋」は初々しい若者の歌。

キーンリーサイドが歌う「詩人の恋」は、成熟した繊細で優しい男の歌。

パーペが歌う「詩人の恋」は、人前では毅然とした態度を見せる美学をつらぬく男の歌。

といった感じでしょうか。

1曲目から6曲目までは、オリジナルの調から、バリトン、バスとだいたい1音か1音半ずつ調が下がっていきますが、恋人に裏切られた失恋の歌、7曲目の「恨みはしない」は慣例により転調はしないということで、3人とも同じオリジナルのハ長調で歌っています。(ただし、キーンリーサイドは最高音のAをテノール並みに歌っていますが、さすがにパーペは低い方の指定された音Dで歌っています。)

同じ調で歌っていると、特にテノール、バリトン、バスの声質の違いが際立って、聴き比べる醍醐味がありますね。
口では「恨みはしない」と言いながら怒りにうち震えているようなテノール。微かな諦めが入りながらも恨みがこもるバリトン。「恨みはしない」と強がっているバス...

後半の曲のかなりの部分、バリトンはテノールと同じ調ですが、バスだけ1音半程度低い調に転調してあります。
同じ曲でもテノールが歌うと聞かせどころは高音部分であるのに対して、バスはやはり低音の響きが際立って美しく、後半は失恋してからの歌になるので全体的に音域が低くなってくるので、バスの良さが出てくるのは後半という感じがします。

三者三様でありながら、三人ともそれぞれ素晴らしく、当分聴き飽きそうにありません。


twitter/punkt_ochibo

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コメント

口では「恨みはしない」と言いながら怒りにうち震えているようなテノール。
微かな諦めが入りながらも恨みがこもるバリトン。
・・・「恨みはしない」と強がっているバス...


吹き出しました・・・(^◇^)ああ苦しい・・・

はじめまして~右舷さまのところからお邪魔しております~!
テノールの方のお声はなんというか、初々しくて聞いていてテレてしまうです。
でも聴いてみたくなりましたーー!
キーンリーサイドさんのCDも聴いてみます~~!
いえその前にサライの6月号ですか!?買い求めて参ります~!
ありがとうございます~!!

投稿: katze | 2011.05.22 21:28

katzeさん
いらっしゃいませ、こちらこそはじめまして。
「恨みはしない」は安定した明るい調のハ長調ですが、やっぱりしっかり恨んでるんですよね。
それがこの曲の面白いところだと思います。
サライの記事はたいした記事ではありませんが、ファンとしてはやはりチェックしておきたいところ。
お役に立てて良かったです。

投稿: punkt | 2011.05.22 23:42

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