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クローネンバーグ監督が”A Dangerous Method”と「イースタン・プロミス」続編について語る

David_cronenberg

トロントの Metro Convention Centre で8月27日~29日におこなわれる FanExpo Canada にデイヴィッド・クローネンバーグ監督がホラー部門の特別ゲストの1人として参加します。(他にはコミック部門、SF部門、アニメ部門、ゲーム部門があります)

FanExpo Canada のサイトによれば、アルティメイト・デイヴィッド・クローネンバーグ・パッケージという限定100枚のチケットを購入すれば、監督にサインをしてもらえて一緒に記念撮影もできるという...happy01
もちろん監督のプレゼンテーションもあるそうです。

それに合わせて、Macleans.ca に先週取材されたというクローネンバーグ監督の電話インタビュー記事が掲載されています。

この中で、前半部分に ”A Dangerous Method” と「イースタン・プロミス」の続編に関する話題が取り上げられていますので、この部分だけ訳してご紹介します。

Q: それで、あなたは FanExpo で握手しようとしていますよね。以前にこの種のことをやったことはあるのですか?

A: 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」を公開したときにサンディエゴの ComicCon でやったよ。あれは劇画だったからね。そしてあれは本当にとても楽しかったんだ。

Q: 典型的なデイヴィッド・クローネンバーグ・ファンの特徴は何ですか?

A: そうだね、それは変化したよ。「イースタン・プロミス」のファンは必ずしも「スキャナーズ」のファンと同じ人ではなくなっている。ギレルモ・デル・トロでさえ、彼は概して私の作品のファンで私たちは友人だが、彼は初期の作品、ホラー作品が好きなんだ。つまり言ってみればギレルモは典型的なファンの1人と言えるかな。彼は素晴らしいメキシコ人の映画制作者で、とても面白くてとても頭が切れるんだ。

Q: 実際のところ、外に出てサインをすることは楽しいですか?

A: 準備はできている。私は孤立しているのが長すぎたよ。4ヶ月間ドイツで、ほとんどスタジオの中の密閉された環境で映画を撮って過ごしていたんだ。私の過去の、いや、私にとっては終わった流血やSF映画と関係を持つのは楽しいだろうと思ってね、でも「イグジステンズ」以来こういったのは作っていない。それにこれは映画を売るときの極めて重要なインタビューとは違う。もっとゆるくてもっと楽しいはずなんだ。

Q: ”A Dangerous Method”について教えてください。私を驚かせたことに、あなたはこれを伝記映画だと呼びましたね。デイヴィッド・クローネンバーグの映画がこのような伝統的なジャンルに忠実だというのは想像がつかないのですが。

A: ある意味、「裸のランチ」は伝記映画だと考えているし、あるいは「エム・バタフライ」や「戦慄の絆」でさえ、これらはみな実在の人々に基づいているから。

Q: それであなたの作品の多くは明白に無意識を作ることに基づいていて、そしてここではフロイトとユングについて、無意識を有名にした2人のそびえ立つ思想家についての映画を作りました。あなたはフロイトかユングのファンなのでしょうか?

A: 今は選択するのは嫌なんだ。私の俳優たちが腹を立てるだろうから。(笑) 私は確かにユングの側よりもよりフロイトの側の傾向がある。だがユングと彼のフロイトとの関係の調査をたくさんやった。彼は本当に興味をそそる、偉大なカリスマ的な人物なんだ。これは精神分析の動向全体についての私の理解を満たした。これは映画制作における素晴らしいところで、これが深く、深く調査するよう促すのだ。私が深くと言ったのは、肉体的に家具についての話で、今私の家にはフロイトの椅子のレプリカの椅子が1つある。フロイトは実際、自分自身が書き物をする間に座るための椅子をデザインした。プロデューサーたちが私にレプリカを買ってくれたのだ。それは人間のように見える。椅子の背には頭があって、椅子のアームの部分は腕のようだ。これがまたとても心地よくて、私が発見して驚いたことに、実に腰の部分のサポートがある。私が椅子を称賛していたことを知っていたので、彼らはこれを撮影終了パーティーの時に私にプレゼントしてくれた。これは、オリジナルはロンドンの博物館にあるので、ウィーンの博物館のためのレプリカの椅子を制作した家具製造業者によって作られている。彼らは私にこれを作るために彼を手に入れたんだ。

Q: あなたの映画は工芸品を作りだす傾向がありますね - 「イグジステンズ」の肉の銃、「戦慄の絆」の産婦人科の医療器具とか。

A: 芸術の形は肉体的だ。演技は肉体的だ。対象物と人間に光を当てている。そしてもちろん時代物をやっている時は、あなたの観客たちをあなたとともに昔に連れて戻れる唯一の方法なので、工芸品は重要なのだ。もちろんいくらかのCGの手品は肉体的なものではない。だが俳優たちにとっては、これらの衣装を身に着け、これらのメガネをかけてあの机であのペンを手に取る、これは彼らには重要なのだ。

Q: 私たちは夢が分析されてSFか超現実的な形をとるのを見るのでしょうか?

A: そうではないと思うよ。でも素晴らしいのは、これらの人々がこのように知的に、教養の深い、抽象的な方法で話して考えた方法で、セリフはそれを反映している。これは手紙やあの頃の回想に基づいている。

Q: この映画が持っているあなたのトレードマークは何でしょう? 暴力があるのですか?

A: ちょっとしたSMがある。間違いなくちょっとSMがね。(笑) でもこれが私のトレードマークだとは言いたくないね。知性が私のトレードマークだと言いたいし、これにはたくさんあるよ。クリストファー・ハンプトンの脚本で私が気に入っているのは、これらの役柄の知性や彼らの闘い方を伝えることに関してまったく妥協がないことで、どのように流れていくか、そしてどのようにすべてが性衝動と彼らが医療処置として考える精神分析学への参照になったか。彼らはあまりにこれに熱中しそれに保護的になったので、このような苦闘があった。そしてもちろん、フロイトとユングの間には大きな対立があった。私はこれらの人々を生き返らせたかった。私は決してフロイトと話をすることはないが、フロイトを演じているヴィゴと話すことができる。

Q: ヴィゴと言えば、あなたは今や彼と3本の映画を作り、「イースタン・プロミス」の続編もあるのかもしれません。彼はフランス人の言うあなたの”acteur de fetiche”(偏愛する俳優)になりましたね。なぜヴィゴなんですか?

A: 彼はフロイト役の私たちの最初の選択ではなかった。この映画では例えば主役でもない。私たちはクリストフ・ヴァツルにいっていた。実際、クリストフは彼のお祖父さんがどうやらフロイトの生徒だったらしいので私たちに言い寄っていて、彼は本当にこの役を演じたがったんだ。この映画はドイツとの共同制作だったので、彼の名前は資金を調達するという点に関しては多くの意味があった - 独立系の映画にとって本当に危険の多い日々なのだ - そして彼は要するにハリウッド映画(”Water For Elephants”:「サーカス象に水を」)をやるために逃げてしまった。それで私はヴィゴに電話した。私は「君がフロイトを演じることに興味がなかったことはわかっているが、またチャンスがやってきたので、君がやりたいかどうか聞かなかったら自分が怠慢だということになると思うんだ。」と言った。彼は「脚本を見させてくれ。」と言って、2日のうちに彼はこれをやっていたよ。

Q: それでは誰が主役なのですか?

A: ミヒャエル・ファスベンダー(「ハンガー」)がユングを演じる。彼はまさに X-Men をやろうとしているからすぐにジャンル映画の信用を得るだろう。彼は素晴らしい俳優で、彼とヴィゴは波長が合ってものすごく素晴らしいんだ。セットはとても明るくてすごく良い雰囲気だ。キーラ(・ナイトレー)は才能ある女優だ。彼女はみんなをすっかり感心させたよ。彼女は、ミランダ・リチャードソン、リン・レッドグレーヴやジュディ・デイヴィスを含む、私が今まで一緒に仕事をしてきた誰とも同じぐらい素晴らしいと言えるね。だれかと一緒に仕事を始めるまで気が付かないんだ。これはヴィゴと最初に仕事をしたときも同じだった。

Q: 彼女はかなり軽く評価されていますね。

A: 彼女は重いやつだよ。

Q: それで「イースタン・プロミス」の続編はあるのですか?

A: そういうのは難しいね。スティーヴン・ナイトが書いた本当に素晴らしい脚本はある。私がこれまでに読んだどれよりも最もすばらしい第1稿なんだ。でも資金調達の問題が、Focus (Pictures)が生き延び、コムキャストがユニバーサルを買収する問題があって、神のみぞ知るだ。だから今のところはこれがどれほど現実性があるか確信がない。可能性は生きている。

「イースタン・プロミス」の続編も映画業界の不況の波をもろにかぶっているようですね。ぜひ続編を見たいものです。
クローネンバーグ監督がレプリカをプレゼントされたというフロイトの椅子は、ロンドンのフロイト博物館のサイトに写真があるのを Erikoさんに教わりました。確かに人型ともいえる椅子ですね。ちょっと不気味な感じ。

twitter/punkt_ochibo

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コメント

punktさん
詳しい訳を、ありがとうございました。
クロネン監督がもらったという椅子、映画でヴィゴが使っているんでしょうか。

それにしても、“EP2”は今年の冬に撮影希望などと言われていましたが
何時になるかも判らないんですね…また首が長くなりそう(苦笑)

投稿: spring | 2010.08.28 10:23

springさん
あの椅子、どうなんでしょうね。
フロイトがいつあの椅子をデザインしたかにもよると思いますが。

EP2はネットでの取り上げられ方を見ても、興行的にイイ線いくと思うんですけどね。どうなることやら...

投稿: punkt | 2010.08.28 18:12

EP2はやはりまだまだと思っておかないと・・でも、もうちょっと実現性が高いと思っていたのですが、このインタビューでは資金面についてはかなり不安があるみたいですね。
  ”A Dangerous Method”は、もちろん単純に楽しみにしているのですが、公開されたときには心理学の学者も映画について何かいろいろ言いそうなんて想像。
 あの椅子は、ちょっと不気味な人型を模している感じですが、座りやすそうでもあるんですよね。

投稿: mizea | 2010.08.29 18:01

mizeaさん
いま映画業界はドル箱路線のはずの007ですら次回作の目途がたたなかったりしますからね。
どの映画にとっても資金繰りは最大の問題なのでしょう。
”A Dangerous Method”はヴィゴの出番はぐっと少なそうですが、それでもこのキャストなら日本公開も期待できそうだし、仕上がりが楽しみです。

投稿: punkt | 2010.08.29 23:40

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