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コーマック・マッカーシー、ヒルコート監督のインタビューより

今日は、主に先月に出てきている”The Road”の原作者コーマック・マッカーシーとヒルコート監督のインタビュー記事から、ちょっと興味深かった部分をご紹介しましょう。

原作の「ザ・ロード」をお持ちの方ならご存じのように、本の扉の部分の献辞は「本書をジョン・フランシス・マッカーシーに捧げる」と書かれていますが、このジョン・フランシス・マッカーシーはコーマック・マッカーシーの現在11歳になる息子のことです。現在76歳のマッカーシーにとって、まだ幼い息子への愛情は格別のものがあるからこそ、「ザ・ロード」が生まれたわけですね。

以下でご紹介するインタビュー記事の中で、何度も言及される本の中の、そして映画にも採用されたあるセリフが出てきます。いちおうネタバレだと思いますので、そのセリフの部分は文字の色を薄くしておきますので、マウスで反転させてお読みください。

Wall Street Jounal : Hollywood's Favorite Cowboy より

WSJ: ”The Road”は父と息子の間のラブストーリーですが、決して「愛しているよ。」と言いませんね。

CM: ああ。この物語にはまったく他には何も付け加えようとは思わなかった。だが、この中に入っている多くのセリフの一語一語は私の息子のジョンと私の会話そのままなのだ。私が彼がこの本の共著者だと言ったのはただそういう意味なのだ。(この本の中の)子供が言っていることの多くはジョンが言ったことなんだ。ジョンが「パパ、ぼくが死んだらどうするの?」と言い、私は「パパも死にたくなるだろうな。」と言うと、彼は「それなら、一緒にいられるように?」と言って、私は「そう。一緒にいられるように。」と言った。まさにこの2人がしたとおりの会話だ。

WSJ: なぜあなたは”The Road”の本にサインをしないのですか。

CM: サイン済みの本があるのだが、それらは息子のジョンのものなのだ。だから彼が18歳になったら、彼はそれを売ってラスベガスに行くなりなんなりできる。それらがが唯一のサイン入りの本なんだ。

WSJ: 何冊サインしたのですか?

CM: 250冊。だから、時々、本の業者や「”The Road”のサイン本を持っています。」という人から手紙をもらうが、私は「いや、あなたは持っていない。」と言うんだ。

現時点では、”The Road” のサイン本と称するものがあったら、間違いなく偽物というわけですね。wink

Knoxnews.com
Literary Knoxville: 'The Road' film wins McCarthy's approval, but will it sell? より

ある時、マッカーシーが、今は11歳の彼の息子のジョンと一緒にセットに来た。

「彼は『「ザ・ロード」の共著者、私の息子に会ってくれ。』と言ったんだ。」とヒルコートは言う。「そして彼(マッカーシーの息子)が話すのを聞くことができた。彼は”パパ”これ、とか”パパ”あれと言っているんだ。(「ザ・ロード」の息子が彼の父親に言うように。)そして、すべてがどこから来たか理解できるだろう。彼は、どのように荒れ地の向こうの外を見ながら朝の4時にモーテルの一室にいたか、彼の息子はベッドの中で寝ていて、そこにはただ静かな不気味さがあり、それがこのアイディアがやってきた場所だったということについて話した。この少年のためなら彼はなんだってするだろう。これはまさにこのように魔法のような関係の1つなんだ。」

この映画を見た後で、マッカーシーが示した少しの提案の中の1つは、この本から少年が彼の父親に、もしも自分が死んだら父親はどうするのか尋ねる部分を含めるということだった。父親の答えは「パパも死にたくなるだろうな。」 これはマッカーシーが、彼の息子との実際の会話で言ったことだった。幸いなことにこのシーンは撮影されていて、映画制作者たちはそれをその映画に戻した。

マッカーシーの息子のジョンは、実際に「ダディー」ではなくて「パパ」とマッカーシーのことを呼んでいたということで、まさに原作の通りに言っているのを聞いて、監督以下撮影現場のみなさんは感激したみたい。

以前にご紹介している、撮影現場の様子が映っているビデオクリップで、撮影現場を訪れたコーマック・マッカーシーが映っているものがありますが、息子のジョンらしき姿も映っていますね。

Vanity Fair
Q&A: The Road Director John Hillcoat on Adapting a Modern Classic より

コーマック・マッカーシーはあなたの映画をどう思ったのですか?

私がこのプロセス全体で最も心配したのはこれを彼に見せた時だった、なぜなら彼は決して脚本を読まなかったからね。彼は手助けも決して申し出なかった。彼は決して質問しなかった。私が彼とプレプロダクションをしていた時の最初の会話で、彼は多くのプレッシャーを解放してくれた。彼は「いいかい、本は本。映画は映画だ。それらはまったく違うメディアなんだ。私は私の仕事をした。君は君の仕事をするんだ。」彼はこの点で本当に助けになった。彼はその間中、話し合いのためにいてくれた。彼はセットに来た。そうはいっても、彼にこの映画を見せるのは大事な瞬間だった。そして、彼が男性用トイレに姿を消してからの恐ろしいこと(その映写室にはたった3人だけだった:私と脚本家のジョー・ペンホールそれにコーマック。)。20分後、彼は戻ってきた。でもその20分間、私たちは、お終いだ、と思っていた。私たちはこれで橋から飛び降りていると知っていた。私たちは激しく着地して立ち直ることができないだろう。だが、彼は戻ってきて、彼はとてもこれを気に入った。私は疑った。その時点で私はあまりにビクビクしていたので、彼に問いなおすと、彼は「いいかい、私はあんたにお世辞を言うために、わざわざここに来ようとは思わないよ。」と言った。そして、私たちは7時間の昼食を取って、彼は私たちを空港まで送ってくれた。彼が言ったことで最も良かったことは、本からなくなって残念だと彼が思ったものが4行の会話以外には何もないと言ったことで、幸いなことに私たちはそれを撮影していた。そしてそれについては彼が完全に正しかった。

それは何ですか?

それは少年が具合が悪くなった後の美しい会話で、こう言う「ぼくが死んだらどうする?」すると男が言う、「パパも死にたくなるだろうな。」「一緒にいられるように?」と少年が言う。「そう。一緒にいられるように。」と男が言う。これは実際は、彼らが「愛している。」と言わないのに、この簡単な会話の中でさえそれを言っている1つの例なのだ。

コーマック・マッカーシーがトイレに行って戻ってこない20分間の恐怖...shock
ヒルコート監督は寿命が縮まる思いだったことでしょう。

なお、コーマック・マッカーシーがこだわった4行の父と子の会話の訳は、黒原敏行さんの訳を参照させていただきました。

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