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Morgunblaðið 2008年5月29日のインタビュー記事

Vmiceland20080529アイスランドの新聞、Morgunblaðið に5月29日に掲載された、ヴィゴのインタビュー記事のスキャン画像は、viggo-worksのこちらに掲載されていますが、Rosenさんと Raggaさんが英訳してくださいましたので、全文をご紹介します。

この記事のインタビュアーの Einar Falur Ingólfsson はフォトジャーナリストで、このインタビュー記事にも出てきますが、ヴィゴの写真展の直前まで、同じ展示室で彼の写真展がおこなわれていました。

ヴィゴの写真camera のテクニック(?)の一端が窺えて、なかなか興味深いインタビューです。最後のオチもちょっと可笑しい。

 

ストーリーを語ることを夢見る
           By Einar Falur Ingólfsson

俳優ヴィゴ・モーテンセンは、土曜日に Ljósmyndasafni Reykjavik(レイキャビック写真美術館)で写真の展覧会を開催する。

「はるかに多すぎる写真を持ってきてしまった。」と言って、ヴィゴ・モーテンセンはお尻に手をあてて半ば絶望的な表情で Tryggvagötu通りの Ljósmyndasafni Reykjavik(レイキャビック写真美術館)の部屋を見まわした。床の真ん中にはいくつかの大きな木の箱が立っていて、部屋中に150枚の額に入った写真 - カラーと白黒 - が置かれていた。「そうだね、少し数を減らすことを考えなくちゃね。」そう言って、また紙で写真を包み始めた。「これは、10月のロスキルデの展覧会に行くだろう。ここでは森のテーマに集中させるんだ。」

ここで靴下で働いているこの写真家は、”Make Art Not War(戦争ではなく芸術を作ろう)”と書かれたTシャツを着ている。彼はときどき芸術分野のルネッサンス・マンと呼ばれる。彼はいろいろな芸術的なことをやるのだから当然だ。詩を書き、絵を描き、写真を撮り、自分自身の出版社を持ち、自分の本や他の芸術家の本を出版し、彼自身の音楽のCDを出し、そして映画俳優でもある。これが彼が最も有名な分野だ。モーテンセンはこれまで25以上の映画に出演してきたが、本当に有名になったのは、ピーター・ジャクソンのトールキンによるロード・オブ・ザ・リング三部作の人間の王、アラゴルン役でだ。最近は、デイヴィッド・クローネンバーグの映画2本、ヒストリー・オブ・バイオレンスとイースタン・プロミスの演技で多くの賞賛を受け、2本目の作品ではオスカーのノミネートを受けた。

ここ数年にわたってデンマーク系アメリカ人のモーテンセンは、いわゆるアイスランドの友人のグループを得て、2回この国を、いまや20歳になる彼の息子と共に旅行して周った。あるとき彼は、安らぎと静寂を体験して写真を撮るためにここに来た旅の一つで、アイスランド美術館における Georg Guðni作品の展覧会を見た。この出会いがすぐ後に、このアイスランドの画家の素晴らしい本の出版の原因になった。現在、彼はこの展覧会 ”SKOVBO - 森の中の家、あるいは森の人”の準備を2年間してきたと言っている。

 

もう少しでフェロー諸島に移住するところだった

偶然にも、モーテンセンの展覧会は、このインタビュアーの展覧会の次のものだった。彼は、彼が到着するまで私の芸術作品をはずさないようにリクエストし、私たちは、彼の作品を一つ取り上げては別の一つを下ろしながら話をした。私たちは、しばしば自然の同じものに注目していることと、二人ともカメラをある種の日記をつけるように使っていることに驚いた。

「多くの人が自分たちの人生における経験を書きつけて忘れないために日記をつけている。」とモーテンセンは言う。「それは他のことと同じように習慣になる。今日は使わなかったけれど、ここにカメラを持ってきている。これを持ってきていない時よりも自分の周りの形や色に、より注意を払うようになるんだ。すべてが本当だ。今日、バルコニーに出たときは毎回 - 彼は自分で巻いたタバコを吸うために外に出る - どんなに空や光が変化しているか気が付くんだ。これがアイスランドでとても気に入っていることの一つなんだ。状況がいつも変化している。たぶん、これはここで映画を作ることを難しくするだろうね。絶え間ない変化は映画制作者の気を狂わせるよ。」と彼は言って微笑んだ。「ニュージーランドも似ていた。ロード・オブ・ザ・リングを撮影していた時、たくさんの写真を撮ったよ。フェロー諸島(訳注:アイスランドとノルウェーの間にあるデンマーク自治領の島)も同じで、天気がいつも変化している。」彼はフェロー諸島を賛美し続けて、かつてもう少しでそこに住むところだったと言った。

ヴィゴ・モーテンセンの写真は詩のように説明することができる。時にはピントは浅く、たくさんの動きがあって、光が写真に時々漏れ込んで奇妙な効果を与える。

「アーティストができることに限界はない。」と彼は言う。「そして木は興味深い! 私の写真にはよく木がある。こちらの展覧会に招かれてから、それについてもっと考えはじめたんだ。そして昨年は、私がいた所や多くの旅先のそこら中で、たくさんの木の写真を撮った。アイスランドに木を持ってくるというのは素晴らしい考えだと思ったんだ。ここにはそうたくさんの木はないからね!

私はライカやハッセルブラッドのカメラで写真を撮ってきたが、昨年は使い捨てカメラを使い始めたんだ。今からじきにそれらは使えなく(流通しなく)なるだろうから、それが使えて遊べるうちに使うのに良い機会だと思った。私はよく長時間露光したり、直接太陽を撮ったりする。このクリアでないプラスチックレンズに光が通り抜けると、たくさんの面白いことが起きるんだ。写真が違ったものになる。時にはレンズをちょっと緩めるために地面に投げる。すると面白いことが起きる。そしてフィルムを調べて、一番いいのを選ぶ。私がどうやってそれを求めるかについての見解を持っているんだ。

 

誰もが自分の夢の世界にいる

これらの写真の多くに詩を感じることができますね。

「それは良く聞こえるね。」彼は笑った。彼の本で、モーテンセンはしばしば彼の写真とともに、彼自身や他のアーティストの詩を置いている。この美術館の壁にも彼自身の詩とともに、Gyrðir Elíasson と Þóra Jónsdóttir の詩を掲げる計画で、Emerson や Hamsuns の名前もいくつかある。「これらは私が惹きつけられた詩と、どうやって私自身が書いたかというものだ。これはみんな長いプロセスの結果で、私は以前からずっと、書いたり、描いたり、写真を撮ったりしてきた。時には道端の死んだ鹿のような何かを見て、車を停め、出てきて良いアングルを探そうとする。より多くは瞬間に撮って、自分の感覚とスタイルがコントロールする。あなたはこの写真は詩だといったけれど、それは良かったと思う。でも、みんながなぜこれを気に入るのかはわからない。これはただ私の経験に基づいていて、世界を見てどんな風に興味を持ったかなのだから。

でも知っての通り、だれも世界を本当にあるようには見ないよね。だれもが世界を自分が望んでいるように見る。結局、だれも自分の夢の世界の中にいるのであって、もしも世界が本当にあるようであると考えたら、私たちは気が狂うかもしれない。」これが、映画のいわゆる夢の工場と呼ばれるところで働いている男、今のところ純粋な信念を持って彼は話している。「私たちはそれ(自分のイメージ)を写真に撮ることができて、私が写真に撮ったものが真実だと言う。でも、もしもあなたと私が同じものを撮ったらアングルが違うだろう。人はいつも解釈しているし、自分が見たものを変えてしまう。」

 

旅をすることは人々が戦争をすることを止められる

あなたの写真の多くは場所の名前がついていて、あなたは世界中を旅しているにもかかわらず、体験はいつも個人的なもののように見えますね。

「だれにとっても旅は良いことだよ。特に、子供と一緒に旅して回るのはいい。これは戦争をしようとするのを止めるのに良い方法だよ。もしも子供の頃にある他の国にいたら、その国を爆撃してもかまわないと確信するのは難しいだろう。旅することは経験で人々と関係することだ。私は旅を愛している。決してそれに疲れることはないよ。時々、肉体的には疲れるけどね。」モーテンセンはため息をついて、ちょっと疲れた笑みを浮かべた。無理もない、ヴィゴが主役を務める、広く話題になっているコーマック・マッカーシーのストーリー、ジョン・ヒルコット監督の ”The Road” での演技を終えてからわずか1週間しかたっていないのだから。昨年、彼はヴィンセント・アモリムの ”Good” とエド・ハリスの ”Appaloosa” の2本の映画に参加した。モーテンセンは、3本の映画とそれに付随するすべては、ちょっとばかり多すぎるかもしれないと言う。彼は疲労について話し続け、彼がやることで最も疲れることは、アーティストの生活で必要な他の部分を中断する、映画の宣伝のように何かをせざるを得ないことだと言った。

私のような人のことを言っているのですか?

今度は彼はニヤッとした。「宣伝の部分は撮影そのものよりも長い時間がかかる可能性がある。でも、私は毎日わずか2~3分でも自分自身の時間があれば幸せなんだ。もう少し自分の時間がコントロールできればもっとリラックスできる。それが私がここが好きな理由の一つなんだ。今度の土曜日に展覧会がオープンしたら、人々に会っておしゃべりをすることを楽しむつもりだ。自分の作品に対する反応を得られるのはいつでも楽しいことだからね。私は本当に楽しみにしている。でも、オープニングが終わったら、2~3日、車を借りてこの国をドライブしてまわるつもりだ。これも楽しみにしているんだ。

前回ここに来たとき、私はたくさん仕事をした。Georg Guðniは家にいなかったので、私は直接、田舎の方に行った。7月で、2日間ぶっ続けで写真を撮ったんだ。ほとんど寝なかったよ。あれは素晴らしかった。」

 

このように有名なことは続かない

夜が来た。私たちは繁華街に行ってコーヒーハウスに腰を下ろした。私はモーテンセンに、ロード・オブ・ザ・リングに続く名声が、彼の人生を変えなかったかどうかたずねた。

「変わったよ。」と彼は言った。「時々、みんなが道で私に気が付くんだ。でもデンマークやアイスランドでは、それはそれほど問題ではない。人々は普通、礼儀正しくて私をそのままでいさせてくれる。でも、私がいたことがあるスペインやアルゼンチンのような別の場所では、そこの人たちは本当に気違いじみているんだ。」彼は笑って頭を振った。「それでも、ある意味、楽しくはあるのだけれど。

幸いにも、このように有名なことは続かない。私はここ何年かずっと、人々が評価するけれど気違いじみたことにはならない映画に参加できて、幸運だった。

そもそも私が演技を始めた頃の夢は、有名になることではなく、ストーリーを語ることだった。もちろん、人々が自分の仕事で幸福だと言うのなら、ちょうど人々が自分の写真に不愉快なものを見つけるのよりそれを気に入ってくれることを望むように、それは楽しいことだよ。他のみんなと同じように私にもエゴがあるが、それはロード・オブ・ザ・リングで得たような名声を求めているという意味ではない。

世間の注目は、スポットライトの中にい続けようと何かしない限りはすぐに薄れるが、また最も優れた映画に参加するべきだということも意味している。映画は広い世界だ。ただそこにいるだけで、ますます多くのことを学ぶことができる。でも私はもっと何かを得たいのだ。今、私は別のアーティストの、一緒にして出版しなければならない何冊かの本を持っているんだ。

あなたの映画での名声は、あなたの出版社の資金調達といった、あなたの夢を実現するのに役に立っているに違いない。

「私の人生は幸運だった。でも、どうやってそれとともに仕事をするかという問題もある。私はいつも、周りの人々と接触を保って、学び、一緒にやって来る機会を利用しようとしている。そして、芸術の仕事をするのはとても興味深くて報われるのだ。」

私たちがコーヒーハウスを出ると、一人の男が私たちの方に近づいてきた。私は、彼はヴィゴ・モーテンセンにサインを欲しいと言うのだろうと思った。だが彼は、ただ私たちに、コーヒーショップの隣のストリップ小屋の広告を渡したかっただけだった。「ほら。」とヴィゴ・モーテンセンは言って笑った。「アイスランドではだれもがとても礼儀正しいんだ。」

アイスランドやデンマークの人たちが控え目だということもあるでしょうけど、北欧だとヴィゴは目立たない、ということもあるのでしょうね。最後のオチの部分は、ただのおっさん二人連れと認識されていたようですし。smile

The Roadの撮影現場を取材した記事でも、使い捨てカメラを使っていることが書かれていましたが、直接お日様に向けて撮影したり、わざとカメラがゆがむようにほうり投げたりするのでは、さすがにライカは使えませんものね。でも、使い捨てカメラで撮った写真が、あれだけ引き伸ばしても鑑賞に耐えるとはちょっとびっくりです。

しかし、本人が好きでやっていることとはいえ、2日間ほとんど寝ないで写真を撮って回ったりして、ほんとうにのびちゃわないか心配です。もう若くないんだから。

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コメント

全文翻訳ありがとうございました。
>はるかに多すぎる写真を持ってきてしまった
というのがヴィゴらしいと思いました。
たくさん見て貰いたかったんでしょうね。

Georg Guðniさんと知り合った経過もわかり、興味深いインタビューでした。田舎まで追っかけするなんて、興味をとことん究めてちゃんと実も花も咲かせる、さすがPPの経営者good

投稿: アンバー | 2008.06.17 14:35

アンバーさん
実際の展覧会では、110枚の作品が展示されていたんです。
だから150枚なんて、40枚もオーバー。
しかも、ちょっと廊下にまではみだしてたしwink
展示できなかった40枚は、どんな写真だったのか、ちょっと気になります。

投稿: punkt | 2008.06.17 22:41

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