« UKTV Drama の投票とCM | トップページ | Gente誌のスキャン画像 »

チリのラジオインタビューの内容

Radio_cooperativa070326先日、オーディオクリップをご紹介した、チリの Radio Cooperativa のヴィゴのインタビューを、viggo-works の Gracielaさん(gm5さん)が、聞き取って英語に翻訳してくださっています。

すごく長いインタビューなので、その中で興味深かったところをかいつまんでご紹介したいと思います。

このインタビューは、スケジュールがびっしりで、ラジオ局に直接出向くことができなかったヴィゴのために、ラジオ番組”Un Nueva Manana”(新しき泉)のレポーターが、リッツホテルのロビーに出向いて行われたものとの説明がまずあります。
挨拶を交わしたあと

ヴィゴ、あなたが国際的な映画業界で偉大なスターであることを考えると、とても親切で、簡素で、気取っていないのに驚きました。自惚れないで、ただ本物のあなた自身であり続けることに何が役立っているのですか?

わからないな。私は、他のみんなと同じように、疲れもするし怒ることもある。でも私は自分のことの管理をしたいし、誰が何をしているのかも知りたい。他の人がやっているように、自分のために多勢のスタッフを欲しいとは思わない。日常、起こっていることにかかわりたいほうだし、すべてを自分の管理下に置く必要があるということではないけど、でも...う~ん...自分のことは自分で面倒を見たいほうだから。たぶん、それが他と違ってみえるんじゃないのかな。自分にとってはきわめてあたりまえのことなんだけど。私の友達はみんな同じだよ。

さらに、映画業界でありがちな態度についての話に続けて、

「スターシステム」の中に友人はいますか?

映画業界では、一緒に仕事したほとんどの人は知っているよ。それはそれとして、時々、以前には知らなかった人々会えるようになったけど、そう多くはないね。パーティや授賞式に行くといった、社交的なツアーに参加しないからね。賞にノミネートされて招待されれば、参加してそれに耐えるけど、招待されなかったらなぜ行くんだい? もっと多くの注目を集められるので多くの人々が行くのは知ってるし、たぶん彼らは正しいのだろうけど、私は居心地が良くないんだ。で、居心地が良くないのに、なぜ行くんだい? 人生は短いんだ。

では、ある種、ヴィゴ・モーテンセンはアンチヒーローでもあるわけですね。ちょっとアラトリステに似てますね。

わからないな。私は不精なんだ。不精で、家をあまり空けることや、新しい人たちと知り合いになるのは気後れするんだ。たぶん、ただ自分が不精で、いくらか気後れするからなんだよ。

授賞式に参加するのは、やっぱりヴィゴは義務感にかられてやっていて、耐えなきゃならないことなんですね。(笑)

そして(あなたの仕事のために)世界中を周っていますが、南アメリカ、特にアルゼンチンは、今でも特別に魅力的ですか?

ああ、南アメリカはどこも、そして必然的にアルゼンチンはね。私はブエノスアイレスで11歳まで育ったからね。そして、同じように少なくともアルゼンチンの人はみんな、私が子供時代をそこで過ごしていたことを知っているんだ。だから、あそこにいると故郷という感じがするんだ。とりわけ、スペイン語を話すときは、スペインでも、ここチリであなたと話している時もね。それは私の一部分で離れることはない。忘れることはできないよ。心地よいんだ。

マテ茶とサッカー以外では、子供時代のアルゼンチンの時のことで、印象に残っているのは何ですか?

私が学んだのは、乗馬、言葉、文化と歴史、食べ物、タンゴ...とても好きだな。タンゴは踊れないよ...習ってはみたいけど、でも、時々、こっそりとタンゴを歌うのはすきだね...他の人をうるさがらせたくないから。私の映画で、十分うるさがらせてるからね。一般的に言って、アルゼンチンの文化と関係があることと、ある程度、スペイン文化を継承するものかな。...

ヴィゴの歌うタンゴは、すごくセクシーでいいですよね。
この後、またカウボーイやガウチョとアラトリステの仲間たちの類似点の話がでてきます。
そして、共通点をみつけるのではなくて、違いばかりを言い立てる愚かしさの話から、次のエピソードが、

チリの空港に到着したとき、アメリカのパスポートを持っていることとブエノスアイレス訛りの組み合わせが、どんなに酷いことになるか、言っておかなくちゃね。ものすごく遅れるんだ...スペインのパスポートを持っている友人たちは、すでに(税関を)通ってしまっていて、彼らは待ってる。それなのにその男はずっと調べていて、とても親切ではあるんだけど、私をどこにも行かさせないんだ。そしてかなりひどい英語で話しかけてくる。だから私は彼に「私はスペイン語を話せます。スペイン語で話してくださればいいです。」と言った。すると彼は私を長いことじっと見るんだ。それで私は失敗したことに気がついた。実際、この訛りとこのパスポートの組み合わせは...真っ直ぐ牢屋か、といったような目つきなんだ。そこで、別の税関の職員が来て言ったんだ。「いいんだ、いいんだ。彼はロード・オブ・ザ・リングだよ。」そうしたら...「チリへようこそ」、で(パン、パン、とパスポートにスタンプを押す音)、「はい、どうぞ。進んで。」
こういった類の偏見は、かつて一度あったことから、他のみんなもまったく同じだろうと信じることからきているんだ。アルゼンチン人はこんなふうだとか、チリ人はみんなこんなふうだとか、他の人々との間の共通点を捜したり、共通点を理解する努力をするかわりにね。

gm5さんが、後で補足説明をしてくださっていましたが、チリとアルゼンチンは以前から国境紛争があって、戦争直前にまでなったことがあるのだそうです。また、アルゼンチン人は、ヨーロッパ系の人口が多いことから、自分たちの言葉は他の南米のスペイン語を話す人たちよりも上等だ、といった意識があるので、他の国から見れば、アルゼンチン訛りは高慢に聞こえるのだそうです。アメリカとの関係は、前のピノチェト政権がアメリカのいわば傀儡政権だったことがあるのかもしれませんね。
というわけで、アメリカのパスポートとアルゼンチン訛りは最悪の組合せ、ということになるのだそうです。

途中、音楽がはさまったりしてインタビューの後半、日本人に言及した部分があるので、以前に他のインタビューでも言っていたことの繰り返しになりますが、ご紹介しておきましょう。

ヴィゴ、振り返ってみて、ロード・オブ・ザ・リングのアラゴルンを引き受けたとき、その影響と、こんなにも有名になるだろうということは考えましたか? 少なくとも、ここチリでは、この映画はとても人気があって、あなたの役柄もとても人気がありましたよ。

世界中でそういうことが起こっているようだね。最初の映画が公開される前からすでにたくさんいたトールキン・ファンがそうなのは驚かなかったけど...ある一定の数の人々がそうだったからね...でもそれはそんなに多くはなかった。だれもそれは予想していなかったと思うよ。でも一方で、公開がはじまるととてもよかったから...少し公開が遅くなったところもある...例えば日本では、2001年12月の世界的な公開の後、1月か2月に公開された。誰だったかが...プロデューサーの一人が私に言ったんだ。「さて、日本でも同じようにいくかどうか、わからないな。彼らはトールキンの本を読んでいないからね。」そこで私は彼に「同じようにうまくいくことは確信している。まず第一に、エルフたちはサムライに似ている。それにストーリー自体に普遍的な価値がある。だから何も問題があるとは思えないね。」と言った。そしてどうなったか。アジアでも大成功だったよ。

アラトリステも、いくらか似ていると思うのだけど...不思議なんだ。アラトリステがマドリッドで公開されたとき、最初はこれはロード・オブ・ザ・リングの成功の影響だと思ったのだけど、多くの日本人がマドリッドに来ていた。英語もスペイン語も話せないのにね...本当に奇妙だった。そして私たちの後をついてくるんだ...マドリッドからバルセロナ、レオンと。その上、彼らはアラトリステをとても気に入っていて、それはもはやアラゴルンとは無関係だった。すでに、日本人の芸術家による非常に素晴らしい挿絵のついた、時を移さず日本語に翻訳された本を持っていたんだ。すでに最初の3冊が翻訳されていたと思う。それから私たちを追って、トロント、マイアミ。メキシコにも2、3人の日本人がいたと思う。これはとっても素晴らしいよね...それには(起ころうとしている時に)決して語ることのできないつながりがあるんだ。私は、ある日本人女性と、レオンでだったと思うけど、話をした。彼女は本を見せてくれたのだが、私は驚いたよ、そう、それらの絵は、私たちが持っている、ここにあるスペインの本のものより、たぶん良いんじゃないかな...同じぐらい良いんだ。そして、彼女たちに話したんだ。「ええと、でもこの話はとてもスペイン特有だし、とてもスペイン人的な男だよね。どういう関連性を見つけたの?」そうしたら彼女たちが言うんだ。「これはサムライの話ですよ、完全に。」 重視するのは、誇り、忠誠心...

名誉...

誇りに満ちた、苦悩の人生を生きるというタイプの悲劇...わからないけど。映画の中の関係は、日本の話と似ていると思われる。これは興味深いことだよね。

Sachieさんと、Misaさんたちに会って話をしたことが、すごく強くヴィゴの印象に残っているようですね。アラトリステの日本語版は、いまや英語版よりほぼ1冊先に行っています。英語版は、つい先日、第3巻目が出版されたばかりなんですよね。

そして、もうちょっとミーハーな話題なんですが...あなたが女性たちに引き起こす賞賛については、どのように対処していまか? 「あぁ~、ヴィゴ・モーテンセン...彼にインタビューしに行くの?...私も一緒に行くわ...彼ってとってもハンサムなんですもの...」

ときどき、ちょっと恐ろしいんだ、だって...どうしたらいい?...なんて言ったらいい?...なにか、ただその場しのぎに?...とても成功した映画で仕事していたら、映画が注目を集めて、そういった映画に出ていた俳優も注目を集める...完全によく理解しているよ。アラトリステ・ファンの何人かと話をする機会があって、そういった関係を持つのは素晴らしいことだ。女性は好きだし、何も反対しているわけじゃないけど...でも、何て言ったらいいのかわからないな。

ヴィゴが大の苦手とする話題です。きっと盛んに耳を引っ張っていたのでは(笑)。
この後、ちょこっと監督が登場して、ヴィゴはレオン訛りのスペイン語を話すんだよ、という話をしています。インタビューはヴィゴに戻って

いま、何かやっていますか?

アメリカに戻ったら、バケットヘッドとの新しいレコーディングを2日間ぐらいで終わらせなくちゃならないんだ...今まで、何度も彼と一緒にやっているんだ。これはインストルメンタルの音楽で...素晴らしいと思うよ...そう願ってる...今までの中で最高のものになると思うよ。最も手ごたえのある、最も完成された。

そして詩は? あなたの人生のどの位置を占めているのですか?

そうだね、私はできるときに書いているよ。私たちは新しい本を出版するんだ、私の本だけでなくて、他の芸術家たちの数冊の本をね。そして私の本は、今まで出版したことのない、新しい詩と新しい写真の本で、この秋に出る、いや、ここでは春だね。

詩は英語ですか?

詩は英語で、何かスペイン語のものも入るだろう。最近の2冊も、スペイン語で書いたものが入っているよ。

スペイン語の詩人の中では、誰を賞賛しますか? ボルヘスですか?

う~ん、難しいね。選ぶとすれば...難しいな。他の人を置き去りにすることになるから。他の人を見落とすから。もちろん、ボルヘス...私はいつもベネデッティが好きだった。でもたくさんいるから。新しい詩人がたくさんいて、何人かのアルゼンチンの詩人はとても気に入っている。そして、Perceval Pressで新しいアルゼンチンの詩の本を出版する予定なんだ、ある時期...今年の終わりにと思っている。

来年の半ばまで、新しい映画の撮影や、プロモーションで忙しいというような話から、クローネンバーグ監督の新作の話題になって、ヴィゴは「トロント映画祭とアメリカで9月に公開されるだろう。」と話しています。

最後にサッカーの話題

あなたはサッカーをやりますか?

時々、時々ね。

ポジションは?

やらせてくれるのであればどこでも...

でも、どこが一番いいですか?

センター・フォワードがいいけど...

ゴールを決める?

ああ、ついていたらね。

アラトリステで、たくさんのゴール得点を決めることを願っています。Cooperativaラジオの ”Un Nuevo Manana”のために、ホテルのこちらにこられたことを感謝しています。幸運と、おいしいマテ茶を祈っています。

どういたしまして。来てくれてありがとう。リスナーのみなさんに、アラトリステを見る機会があったら、見る価値がありますからね。みなさんが気に入ってくれることを願っています。気に入ってくれると思うけど。この映画は、話題を提供してくれるでしょう。

ヴィゴ、ありがとう。またお会いしましょう。

来てくれてありがとう。お会いできて、とても良かったです。

へぇ~、ヴィゴはセンター・フォワードがいいんだ。花形じゃないですか。
なんとなく、イメージとしてはフォワードじゃなくて、ディフェンダーのような気がしていたんですけどね。
ちなみに、ショーンはゴールキーパーでしたね。

gm5さん、聞き取りおよび英語への翻訳、ありがとうございました。

|

« UKTV Drama の投票とCM | トップページ | Gente誌のスキャン画像 »

Viggo Mortensen」カテゴリの記事

アラトリステ」カテゴリの記事

コメント

gm5さん、ありがとうございます。
そして、punktさんも、こんな長文の訳をありがとうございます♪
これでも「かいつまんで」なんですね〜。すごい・・・スペイン語だと、なんだか英語よりもつっかえずに話しているようなイメージがあります(笑)

ところで、また日本の話が出てきたんですね。
これだけ引き合いに出してる以上、日本での公開が見送られる、なんてことになったら、びごさん自身がいちばんがっかりしそうです。
どうか、サムライの国でもアラトリステが上映されますように!

そして、SachieさんやMisaさんたちとのお話はよほど印象的だったみたいですね♪ 長野センセイの挿絵もとっても気に入ってくれたようですし。
やはり自分でも絵を描いたり、本を出版したりしているからなんでしょう。気合いの入った本だということがしっかり伝わっていて、こちらまで嬉しくなっちゃいます♪

投稿: mate_tea | 2007.04.05 23:10

mate_teaさん
やっぱり、日本のことを話題にしてくれていると、ちょっと嬉しいですよね。
ぜひ、ぜひ、日本で公開されますように。

投稿: punkt | 2007.04.05 23:54

 翻訳・解説ありがとうございますー。
 「牢屋」のくだりは、英文をよろよろと読んでなんとなく状況はわかったものの、それはまた大げさな?とか思っていたのですが、それはまた冗談ではない背景があったのですね。

 日本の本については挿絵もですが、ハードカバーのつくり自体もいいものだと気に入ってくださったかもしれないですね。
 日本の話題を出してくださるのはうれしいですが、「アラゴルンとは無関係」にヴィゴファンなんですから! でも、こうやって普遍的な面白さを持つものなんだよという解説に使うために引き合いに出されるのはとってもOK。

投稿: mizea | 2007.04.07 22:21

mizeaさん
国境を接している国というのは、中が悪いことがよくあるようですね。日本のような島国だと、そういう感覚は鈍感な気がしますが。
アラゴルンファンより、ヴィゴファンなんだと、どうして思わないんでしょうね(笑)
もうちょっと自覚していただきたいです。

投稿: punkt | 2007.04.09 00:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« UKTV Drama の投票とCM | トップページ | Gente誌のスキャン画像 »