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アグスティン・ディアス・ヤネス監督 独占インタビュー

Alatriste_poster7月25日に、Comunicación Cultural に「アラトリステ」のアグスティン・ディアス・ヤネス監督のインタビューが掲載されました。
とても長いインタビューなのですが、例によって viggo-works の paddyさんが英訳してくださったものが、viggo-works の記事紹介ページに掲載されています。

なかなか良いインタビューなので、かいつまんでご紹介します。(二重訳になるので、おかしなところがあるかもしれませんがご容赦ください。)

カピタン・アラトリステ
           by イグナシオ・サルダーニャ

アグスティン・ディアス・ヤネス監督は、彼の次の映画「アラトリステ」の公開に先立ち、私たちを独占インタビューのためにマドリッドの自宅で歓迎してくれた。

Comunicación Cultural: 脚本は5冊の本に基づいていますね。どのような基準でそれらを総合し、映画の感覚を与えたのですか?

アグスティン・ディアス・ヤネス: ペレス・レベルテは5冊の本を書いているのだが、どれにも1つ冒険があって、冒険の最初から最後まで大体90から100ページある。私が脚本のために5冊全部を読んだ時に彼に言ったんだ、「おい、1本の映画にするのは不可能だよ。だってどれにも1つ冒険がある。これはほとんど1回ずつのTVシリーズの方が合ってるよ。」そうしたら彼が言ったんだ。「だったら、アイディアを探してくれ。」

私が思いついたアイディアは、アラトリステの生涯を彼が三十代から五十代まで描くというもので、二十何年間が経過する。そうすれば彼の生涯を語っていく時に、小説に出てくる冒険を、それだけで完結したものでなくそれぞれ重なり合った冒険として、彼の人生の一部として使うことができるんだ。アルトゥーロはそれをとても良い考えだと思って、アラトリステの精神を裏切らない限り、私がやりたいようにやっていいと、私にそれを了承すると言ったんだ。それで結局とても楽になったんだ。なぜなら私にはたくさんの素材があったからね。たくさん以上の材料があって、私はアルトゥーロの小説の材料から多くを取り除かなければならなかった。でも、私にはまだ処理が必要な筋書きがあったんだ。それには始まりと終わりがなかった。これが問題だった。

アルトゥーロの小説を読んだことがあるのならご存知の通り、彼はしばしば小説に続けて書いている、例えば「20年後、アラトリステの恋人は彼の元を去った。」 ただ、1文だけで他にはなにもない。これは私にそのまま続ける機会を与えてくれた。これは思った以上に楽だった。

CC: 何を省いたんですか?

ADY: いくらか割愛しなくちゃならなかった。この脚本は、きっかり105ページあることに注目して何かを省く必要があったんだ。映画では、後でイメージが増幅されるし、俳優を通して多くが語られるから、いつもとても簡潔でなければならない。でも、いくつかのことを省かなければならなかった。例えば2巻目から、これはほとんどは宗教裁判についてなのだが私は少しだけ使ったし、最初の本からたくさん、特に映画の冒頭部分に使った。そして第3巻と4巻からたくさん採用した。

5巻の話を1本の映画にするのはなかなか大変だったと思いますが、さっそく1巻目からたくさんシーンが採られているようなので楽しみですね。この後、インタビューでは映画を見る前に原作を読む方がいいか、逆の方がいいかという話や(監督は先に原作を読む方を勧めてます。)、小説を映画にする場合の考え方などの話が続きます。
また、現代物なら衣装にしろ家具にしろ、好きなようにできるのに、歴史物だとそうはいかないので大変だとも言っています。

CC: 小説のどの部分が映画にするのがもっとも難しかったですか?

ADY: 私が最も怖れていて、結局は難しくなかったのは剣とアクションシーンなんだ。ヴィゴを通してボブ・アンダーソンを得られたからね。彼は私たちにどうすればよいか教えてくれて、もはや心配がなくなったんだ。ボブはエロール・フリンから始めて、104本の映画を撮っている。彼はスター・ウォーズのダースベーダーだったし、最高の剣の達人だ。

彼が素晴らしいことは知っていたが、世界的に偉大な名人である上に、監督にとって魅力的な男なんだ。彼はあらゆることで助けてくれて、あらゆることを教えてくれた。だからもっとも難しいと私たちが考えていたアクションシーンがもっとも容易なものになったんだ。撮影の最後の8日間は、本当に大きな恐怖を生き延びた瞬間だった。それは、スペインの優位性が戦いの中で終わったことを意味する、フランス軍とスペインの第3連隊の間のロクロアの戦いだった。私たちは今まで戦闘をやっていないし、百頭の馬やなんかとの経験はほんの少しだったので心配だったのだが、うまくやったよ。

先日の剣の練習風景のビデオクリップでも監督が言っていましたが、ボブ・アンダーソンはヴィゴの紹介でこの映画に参加したんですね。そして、彼は単に剣の達人というより、監督が頼りにするプロ中のプロだったようです。
そして次に出てくる監督の答えに注目です。

CC: この映画を国際マーケットに発表したら、あらゆる観客がその独特な点を理解できると思いますか?

ADY: それは難しい問題だね。この映画をすでに何人かのフランスの配給会社の人や、イタリア人、日本人が観たので言うのだけど、それについては持説がある。スペインでは、海外ではおそらくオリバーレス伯公爵やフェリペ4世が誰だか知らないだろうからと、私たちはスペインを心配している。だが、外国の映画を観る時は、私たちは歴史的な登場人物の多くを知らない。

結局、歴史的な背景などよく解っていなくても、ちゃんと映画や本を楽しめるのだから、というのが監督の結論のようです。
そしてこのインタビューで何よりも大いに注目する点は、少なくとも日本の配給会社がこの映画に興味を持っているようだ、ということ。
どうか、ぜひとも日本でも公開されますように!

英訳してくださった paddyさん、ありがとうございました。

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コメント

punktさん、和訳ありがとうございます。
そして、下の衣装のもありがとうございました。「投げて良し」 うんうん、たしかに♪

スペイン語圏ではもうプロモーションが始まっているのですよね。これからどんどんこうしたインタビューが流れてくるのでしょうか。期待がどんどん膨らんでしまって・・・何よりも、日本公開の情報が流れてくれますように!

投稿: mate_tea | 2006.07.30 17:54

mate_teaさん
スペインでは公開までもう1ヶ月ですよね。
いろいろニュースが出てきても、まずはスペイン語だというのがもどかしいのです。
果たして日本公開はあるのか、こちらも大いに気になります!

投稿: punkt | 2006.07.30 21:53

なんだよ2巻は使わなかったんかよう
しょぼーん

投稿: かとう | 2006.07.30 23:56

かとうさん
2巻がちょっとだけというところで、かとうさんががっかりなさるんじゃないかと思ってたんですが、やっぱり(笑)
3巻、4巻はいっぱい出てくるようですので、これからも翻訳を頑張ってくださいませ。

投稿: punkt | 2006.08.01 00:49

3巻は1章から訳注の雨あられっす。17世紀の戦争のやり方とか16世紀軍事史なんて普通知らないもんね。

投稿: かとう | 2006.08.01 09:05

かとうさん
3巻は確か、ブレダ包囲戦(あのベラスケスの絵ですね)のお話でしたよね。
確かに、訳注が大活躍しそうですね。

投稿: punkt | 2006.08.01 22:44

これ読んだら三十年戦争にはずいぶん詳しくなれますよ

投稿: かとう | 2006.08.02 15:55

かとうさん
三十年戦争というと、ドイツと思ってましたが、スペインもからんでくるんですね。
かとうさんのブログでの訳注の解説が重要になりそうです。

投稿: punkt | 2006.08.02 20:08

私も意外だったんですが、ネーデルラントに駐留していたスペイン軍の動きが特に三十年戦争の第一段階のボヘミア・ファルツ戦争では大きかったんですね。地図で見てみたら、ファルツというのはアルデンヌの森を挟んで反対側がネーデルラントなんです。隊長は主にアンブロジオ・スピノーラ麾下の部隊でボヘミア・ファルツ戦争を戦っていたようです。

投稿: かとう | 2006.08.02 21:11

かとうさん
アラトリステを5巻までの注釈を熟読すると、ちょっとしたヨーロッパ史の通になれそうですね。

投稿: punkt | 2006.08.03 23:46

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