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ヴィゴ・モーテンセン:どんな状況にも対応するアーティスト

viggo-works のニュースフォーラムで教えていただきました。
Blog News Network のサイトに、掲載されたリチャード・マーカス氏によるヴィゴについての論評記事が、とても良いものだったので、ちょっと長いですが翻訳してご紹介します。

ヴィゴ・モーテンセン:どんな状況にも対応するアーティスト

by リチャード・マーカス

以前に私が書いたものを読んでいる方ならお判りだと思うが、私は大げさに褒め上げたりはしない。そして私にとって、上記のような見出しを書くことは本当に例外的なことだと思っている。私は、他のサイトのために書いた、ヴィゴについてのレビューをここに再掲する。この人物について、何かを発表するときはいつも、もっとより多くの人々が彼の詩やビジュアル・アートを目にしたり熟読するようにしむけようとしいてる。だから、リンク先に行って、アーティストの作品に挑戦し、楽しんで欲しい。我々の多くにとって、ヴィゴ・モーテンセンを知るきっかけはロード・オブ・ザ・リングの映画3部作によってだった。彼のアラゴルンの演技は、間違いなく、全てのJ.R.R.トールキン原作ファンの記憶に永遠に刻み込まれた。それ以前に3回彼を見ていることが明らかになった私のDVDライブラリーに立ち戻って見るまでは、なんとも皮肉なことに、この3部作が私にとって、彼を見た最初の映画ではなかったことに気がつかなかった。明らかに、私の記憶の消失のせいで彼が忘れられやすいということではない。どうしてそういうことになったかを説明しよう。

3つの映画(ヤング・ガン2、28DAYS、名前を失念してしまったグゥイネス・パルトローとマイケル・ダグラス共演の殺人ミステリー)ではどれも、最後の作品でダグラス氏の次の準主役であるのを除いて、彼は主役ではなく背景にとどまっている。彼が演技の中心にいるにもかかわらず、すべてのケースで彼が映画をコントロールするよりも、中心となるキャラクター(あるいはキャラクター達)が、どのように彼に対して反応するかに、私たちの注意は惹きつけられる。

しかし、彼の役柄はさておき、その時そこにはそれ以上のものがあった。デイヴィッド・クローネンバーグ監督は、モーテンセン氏の "A History of Violence" と呼ばれる映画の監督作業が終わったばかりであるが、彼をその役に選んだのは、彼が主役のカリスマ性と性格俳優の才能をあわせ持っているからだと言っている。「ヴィゴは、彼の役柄の信憑性よりも、彼がスクリーン上でどうアピールするかということの方を気にするということはない。」

これが私の疑問への答えだ。彼が演技しているどの映画でも、モーテンセン氏はヴィゴ・モーテンセン個人の人格とは別の人格を作り上げている。私は彼が彼自身を演じているのをかつて見たことがない。感情的な反応は、彼ならばどうするかではなく、その役柄が与えられた情況ではどのように振舞うべきか、ということに基づいている。ほとんどのハリウッドの主役俳優たち(男性も女性も)は、彼らの演技の間中、そのスターとしての力を保っている。私たちは、メル・ギブソンの映画や、ゴールディー・ホーンの映画を見に行った時に、どんな人物をスクリーン上に見るか判っている。

これが、ヴィゴ・モーテンセンにはあてはまらない。なぜ、私が彼のロード・オブ・ザ・リングの演技から、28DAYSや、先ほど述べた他の2つの映画に出ていた俳優と同じ俳優だと気がつかなかったか、という理由がここにある。かつて舞台役者だった者として、私はいつもこのような仕事がスクリーン上でなされるのを見ると、深く感銘をうける。このようなリスクを負うこと、とりわけ主役が、ということはハリウッド映画では非常にまれなことだ。

私は、銀幕を超えて広がる彼の芸術的な試みについて学んでから、この人物をより深く理解できたように思う。私は、彼の画家、詩人、そして写真家としての才能のニュースを、ある種の懐疑的な態度で受け止めていたことを認めなければならない。今日、非常に多くの「スター達」が芸術家の称号を主張していて、私は公表されているどんな自称の才能も、話半分程度にしかとらえていない。だが、彼の作品は本物だ。

3つの分野全てで技術的に熟達しているというだけでなく、彼の作品についてユニークで独創的なヴィジョンを持っている。彼の詩は心と頭脳から発せられる。彼の絵画は抽象的な手法で感情を探求する。そして彼の写真は、同僚の俳優のようになじみのある対象でさえ、以前は知られていなかったある物語を語る。彼の演技のように、彼のすべてのプロジェクトには、あるリスクの要素がある。それらは、知的にも感情的にも、近づき理解するのは簡単ではない。そこには、感傷的であることを保証する印はないし、観衆は本能的なレベルでどのように反応するか判断しなければならない。

彼はためらいの余地を残していないし、彼の作品に対する見解を持つことを余儀なくさせる。それが肯定的であれ、否定的であれ、それは問題ではない。だが「あら、素敵だわね。」と言う機会はない。この要素が、彼の演技をも非常に独特なものにしている。毒にも薬にもならないウォルト・ディズニーの世界の中でさえ、映画「オーシャン・オブ・ファイヤー」のための、彼のフランク・ホプキンスの役柄の創造において、私達は、欠点もなにもかも含めた多くの層を持ったある人物を見る。典型的な土曜午後のマチネーのアイドルではない。

数多くのヴィゴ・モーテンセンの過去の複製品(訳注:ヴィゴの出版物のことを指しているようです)は、創造のエネルギーの貴重な宝石だ。彼の作品は、旧来の主役俳優が発揮する俳優としての取組みの通常のレベルをはるかに超えて、そのことは彼の演技を、彼の詩や写真のように独創的な芸術のレベルに高めている。チャンスがあったら、彼の詩をいくつか読むか、彼のヴィジュアル・アートを見ることを強くお奨めする。彼の作品や他の芸術家の作品は、彼の小さな出版社である www.percevalpress.com で購入することができる。私は 彼の最近20年間の作品を集めた "Coincidence of Memory" を購入したが、これは彼の3つの表現方法の良い手引きを提供している。リスクを負ってみたまえ。支払ったコストよりはるかに大きな報酬を見出すだろう。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

私も、ヴィゴファンになりたての頃、次々と借りてきたレンタルビデオの中のヴィゴが、それぞれあまりにも違うので、びっくりした覚えがあります。
ヴィゴだと判って観ていても、まるで別人のよう。主役俳優の一人と認識されるようになっても、ヴィゴの仕事への取り組み方はまったく変わっていないことが嬉しいですね。

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Viggo Mortensen」カテゴリの記事

コメント

punktさん、ありがとうございます!
根拠なく褒めたりしないという方が、ヴィゴを絶賛しているふうだったので、とても読みたかったのですが、長文だったのでクラクラしてました(笑)
作品によってヴィゴの印象がまるっきり違うというのは感じていましたが、こうして文章で表現されると改めて感動してしまいます。
同時に半端なつきあい方をしてはいけないという気持ちにさせられます(笑)
punktさんの日本語訳を、是非紹介させてくださいね。

投稿: えり子 | 2005.06.07 17:26

以前「通りすがり」と言う名前でコメントを書かせていただいたことがある者です。こんにちは。


この記事の和訳がよみたかったので、とてもうれしいです!

短いものなら自分で読む気力も起こりますが、とても長かったので諦めていました…(とほほ)

このRichard Marcusさんという方は、ヴィゴファンなのでしょうかね。
他にもヴィゴのことがちらほら、彼のブログに載っていますね…(例によってきちんとは読んでいませんが)
http://www.pippensqueak.blogspot.com/

おもわず「我が同胞!」と叫びたくなりましたです(笑)。

投稿: 不良会社員 | 2005.06.07 20:33

 和訳ありがとうございます。読みたいけれど私の英語力(というのもお恥ずかしいほど無いんですが)では、とても無理と思っていたので、本当にありがとうございます。
 「ヴィゴ・モーテンセンという役者として記憶に残らない。その理由」についての文章は、いちいちうなずきながら読みました。

>主役俳優の一人と認識されるようになっても、ヴィゴの仕事への取り組み方はまったく変わっていないことが嬉しいですね。
 あぁ、そうですね。たしかにその点も見逃してはいけないことですね。

 ありがとうございました。

投稿: mizea | 2005.06.07 21:06

えり子さん
いつもご紹介ありがとうございます。
長かったのでどうしようかと思ったんですが、勢いだけで訳してしまいました。

不良会社員さん
Richard Marcusさんは、ヴィゴファンみたいですよ。
ブログの中は読んでないのですが、ご自分で書かれているプロフィールを見ると、ヴィゴファンだと思われます。
私の訳でも、お役に立てたのなら幸いです。
(この翻訳を仕事中にこっそりしていた私も、立派な不良会社員です(笑))

mizeaさん
ヴィゴ自身が記憶に残らなくて、過去の作品で見ていたのにまったく気がつかなかった、というのはよく耳にする話ですよね。
一部なんちゃって訳になってますけど、読んでくださってありがとうございます。

投稿: punkt | 2005.06.07 23:25

punktさん、リチャード・マーカス氏の評論記事の邦訳と掲示板での紹介有難うございます。この様な時間になってやっと。。汗
活発な意見交換があったようで爆睡して出遅れてしまいました。ジタバタ…
私も記事をコピーして会社へもっていったのですが、数行で…ほほっ。挫折。マーカス氏がたどったヴィゴ軌跡は多くの方に当てはまると思います。だから共感がもてるのでしょうね。
感謝感謝です。

投稿: Miki | 2005.06.08 02:14

Mikiさん
読みに来てくださって、ありがとうございます。
ヴィゴファンが思い当たるところがあるので、我が意を得たりという感じがするんですよね。
お役にたててなによりです。

投稿: punkt | 2005.06.08 22:21

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