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アラトリステ原作本より(その4)

(その3)に引き続き、スペインのアラトリステのファンサイト Capitan-Alatriste の英語のフォーラムで、doctor-Qさんが英語に訳してくださった、原作1巻目・冒頭部分のご紹介の第4弾です。(日本語訳では、一部省略したところがあります。)

今回は、いよいよアラトリステの姿、その眼差しについての描写が出てきます。

私はその正確な年を覚えていない - その世紀の22年だったか、23年だったと思うが - しかし、私はキャプテンが牢獄から釈放されたのが、マドリッドのとりわけ寒い、青く明るい朝だったことを覚えている。.......今でも私は、痩せて髭を剃っていないディエゴ・アラトリステが、鋲を打った黒い木製の門が彼の背後で閉まった時に、門枠の下に立っていた姿を思い浮かべることができる。私は彼が、通りのまぶしさに目をくらませて瞬きしていたのをはっきりと覚えている。分厚い口髭が彼の上唇をおおい、彼の細いシルエットを、マントとつば広の帽子が包んでいた。その帽子は、角の石のベンチに腰掛けていた私を認めた時に微笑んだように見えた、明るい目の周りに影を落としていた。

キャプテンの眼差しには、何か特別なものがあった。一方では、それはとても淡い色でとても冷たく、冬の朝の水溜りの水のように緑だった。もう一方では、彼の顔は厳粛、無口で無表情なのに、熱の一撃が氷の層を溶かすように、それは突然、温かく友好的な微笑みに変わる事ができた。

ここのキャプテンの眼差しの描写、ヴィゴにぴったりだと思いませんか?
原作者の Arturo Perez-Reverte は、最初ヴィゴと会うまではヴィゴのアラトリステが想像がつかなかったが、一度会ってその目を見たら、これこそがアラトリステの目だと思った、というようなことを述べています。制作発表の記者会見でも、Arturo Perez-Reverte はヴィゴの目を絶賛してたようですよ。

それ以外に、彼が危険だったり悲しんでいたりする時に、もっと不安にさせるような微笑を浮かべた。口髭を左に少し動かした下でしかめた顔は、しばしばその後に突然繰り出す一突きと同じぐらい危険であるか、彼が無言のうちにまったく一人で空にしてしまう、何本かのワインで泥酔している時の予兆のように暗かった。2リットルはほとんど一息で、口髭を手の甲で拭うと視線は壁の中だ。「酒は亡霊を殺してくれる」と、彼は亡霊を完全に殺せたことなどないのに、いつもそう言っていた。

あの朝、私が彼を待っていた間に、彼が私に向けた微笑は最初から優しかった。
微笑が彼の目を明るくし、それに反して顔は無表情、生真面目で、彼の本当の感情とは違ってしばしば言葉にそう表わさざるを得ないように粗野だった。彼は通りの一方と反対側を見渡して、新たな債権者が彼を待ち受けていないことを納得したようだった。彼は私の方にやって来ると、寒いにもかかわらず自分のマントを脱ぎ、それをボールのようにくしゃくしゃに丸めて私に放ってよこした。
「イニーゴ」と彼は言った。「それを煮るんだ。そいつは南京虫だらけだ。」

アラトリステは、過去に自分が殺した人々や戦死した友人の亡霊を忘れるために、呑んだくれることもあるようですね。
一見、顔が笑っているようなのに眼が笑ってない、という事はよくありますが、アラトリステの場合は、顔は笑っていないように見えるし言葉もぶっきらぼうだが、眼だけが明るく微笑しているというタイプのようです。

今回の記事の参考にさせていただいた、doctor-Qさんの英訳は、こちらでご覧いただけます。やはり同じものが Viggo-Works の Forum にも転載されています。

 ⇒ アラトリステ原作本より(その5)


<おまけ>
Viggo-Worksへのタレコミ情報によると、Capitan-Alatriste サイトのスペイン語のフォーラムの方で、先週の撮影現場を見た人の話がでているそうです。夜の撮影があったようですが、コスチュームをつけたヴィゴは、ちゃんと大きな帽子をかぶっていたそうです。撮影の合間にはいろいろな人にせっせとサインをして上げていたとか。

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コメント

punktさん、ハイペースですね。(うれしいです)
Perez-Reverteはこんなにていねいに、アラトリステの容姿(とくに目)を描写していたんですね。同時に、アラトリステが内に秘めているものも感じさせる、とてもツボな部分ですね。(ちょっと、ウルッとしちゃいました)
ヴィゴそのまんまじゃない?という描写に、Perez-Reverteがヴィゴに初めて会ったとき、何か運命的なものを感じたのではないかと思ってしまいます。アラトリステの映画化については90年代後半からキャストなどを検討されていたものの、Perez-Reverteがイメージを重要視したために決定には至らなかった─みたいなことを見たような気がするんですが、待ってよかったですね〜。

投稿: えり子 | 2005.03.19 01:05

えり子さん
英訳版の原作冒頭部分を読んで、今回のところが、一番、みなさんに紹介したい! と思ったところなんです。
ヴィゴに会ったPerez-Reverteが、目が素晴らしいと言っているという記事を読んだのはずいぶん前だったし、そのときはただ、へぇ~、という感じだったんですが、小説のこの部分を読んで、ああ、そうだったのか、とすごく納得がいきました。
作者も、アラトリステの眼差しについては、すごく思い入れがあるのでしょうね。

投稿: punkt | 2005.03.19 01:43

 翻訳ありがとうございます。なるだけ事前にはいろんな情報をいれないで映画を見ようとするタイプなのですが、アラトリステの容貌の描写については読まずにおられませんでした。 ほんとに「これはヴィゴのことを描写しているのかしら」と思えるような表現がありますね。 そしてそれに違わぬ役作りをされるのでしょうと思いますので、とても楽しみです。

 ヴィゴさんに接近遭遇したとき、(実際に会った方のレポで知ってはいましたが)その目の美しさ・暖かさは、予想以上のもので、ほんとに一瞬かたまってしまいました。
 「微笑が彼の目を明るくし、それに反して顔は無表情、生真面目で」という表現はゾクゾクいたします。


 下のほうに出ている指輪ミュージカル。公式サイトを「ブックマーク」したのが約3・4年前でしたが、まったく動きが無く、なんとなく立ち消えかなと思っていました。
 きっとネット上のレポを見るだけしかできないと思いますが、楽しみです。

投稿: mizea | 2005.03.19 21:24

mizeaさん
よけいな情報をシャットアウトしてらっしゃるのに、わざわざお読みいただいてありがとうございます。
私もヴィゴに接近遭遇したことがありますが、本当にあの目は吸い込まれるような感じですよね。

指輪のミュージカルの公式サイトって、そんなに昔からあったんですか?
海外でも、このミュージカルはどうなんだろうと、かなり話題になっているようですよ。

投稿: punkt | 2005.03.19 23:29

>よけいな情報をシャットアウトしてらっしゃるのに、わざわざお読みいただいてありがとうございます。
 あ、いえ、完璧シャットアウトできるわけも無く、punktさんはじめいろんな方が紹介して下さる情報をちらちらと入れつつ、期待を少しずつ膨らませております。 これからも翻訳紹介どうぞよろしくお願いいたします。

前回の文章の
・「これはヴィゴのことを描写しているのかしら」
つまり「これはヴィゴのことを描写しているのではないかしら」ということです (汗っ)

 指輪ミュージカルの公式サイトオープンは、4年以上前だったかもしれません。パソコン変えたので確認できないのですが。 当初は製作者の名前などの羅列と「メルアド登録してくれたら、何か動きのあったときにメール送ります」程度のことでした(登録してませんでした。英語ダメですし、たぶん見にいけないでしょうしということで)。 それがずーーっと変わらなかったんです。 
 ワーグナーの指輪も、演出家によって衣装・セットがさまざまなデザインになるようなので、LOTRも舞台的にどうするのか楽しみです。

投稿: mizea | 2005.03.20 10:11

mizeaさん
>前回の文章の...
大丈夫です、ちゃんとおっしゃりたいことは通じてますよ!

指輪ミュージカルに関しては、みなさん「ちょっぴりの期待と大きな不安」という方が多いようですね。いったいどんな風になるのか、興味津々ではあります。

投稿: punkt | 2005.03.20 21:08

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