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ヴィゴの名前の由来について(その2)

昨日ご紹介した、ヴィゴの名前の由来についての考察、ですが、この記事を掲載するにあたって、原文を書かれた Estel さんに日本語での転載許可をいただくためにメールを出したところ、さらに詳しい解説付きの、長文のお返事をいただきました。
こちらも、ヴィゴがLOTRの仕事を引き受ける上で考えたであろう、LOTRの背景に多少かかわる話で、興味深いと思ったのでご紹介します。


<Estel さんの Viggo という名前についての解説 (その2)>

Viggo は、アイスランド語では Hrolf Krake、現代のデンマーク語では Rolf Krage というサーガに出てくるキャラクターで、これにはいろいろなバージョンがあります。
そのうちの一つが、デンマークの歴史家のサクソ・グラマティクス(Saxo Grammaticus)によるもので、彼はだいたい1200年頃生きていた人で、デンマークの伝説と歴史の本(訳注:デンマーク人の事績というタイトルで日本でも本が出版されています)を書きました。彼がその本をラテン語で書いたために、デンマークで古代スカンジナビア語やデンマーク語でない、ラテン語版の名前の Viggo が生き延びることになりました。Recent Forgeries の謝辞の部分を見ると、Hrolf Krake の名前が載っているのを見られますよ。

ヴィゴは小さい時にこのサーガを読んで、英雄にちなんだ名前である、自分の名前がどこから来たのか知ったのでしょう。しかも、少年の時に、休暇中のデンマークで、彼の弟達や従兄弟達と、木の剣で遊んだというのですから。しかし、彼は明らかに名前の由来(語源)は知りませんでした。

Hrolf Krake は、英語版をインターネット上で見つけることができると思います。私は、ヴィゴが最初に読んだのであろうと思われる、サクソの簡略版を読みましたが(ヴィゴは Rolf に言及する時にアイスランド語の Hrolf Krake を使うので、明らかにアイスランド語バージョンも読んでいると思われます。)、私が好きな18世紀に書かれたロマンチックな脚本は、ちょっとシラーの芝居のようです。

Rolf(あるいは Hrolf)は偉大な王でした。Viggo(アイスランド語版では Vögg)は、若い時から仕える王の家臣の1人で、もしも王が殺されたら、必ず復讐すると誓います。ずっと後になって、Rolf は彼の妹(姉?)と彼の王位を狙う義理の弟(兄?)に裏切られ、殺され、王の家臣たちもみな殺されてしまいます。18世紀の脚本バージョンによれば、Viggo は賢く、隠れたために、盾持つ乙女である婚約者から臆病者と非難されますが、彼は昔の主人のことなど気にもとめないかのように、新しい王に仕えます。そして、Viggo は新しい王に、かつて Rolf がやっていたように、王の剣の切っ先を触らずに代わりに剣の柄を触るやり方の、忠誠の誓いを受けて欲しいと言って近づき、剣を取ると、新しい王を殺し、彼の主人の復讐はなされました。もちろん、すぐに Viggo は殺されてしまうのですが、神聖な誓いを立てていた彼にとっては、そんなことは問題ではありませんでした。

Viggo のやり方に賛同できるかどうかはともかく、自分自身の名誉を犠牲にして、王の復讐をするという神聖な誓いを守った彼は、バイキングの時代の倫理に従えば英雄でした。

       **********

ヴィゴは、子供の頃、自分を伝説の英雄になぞらえて、ちゃんばらごっこをしたりしていたのでしょうか?
サクソ・グラマティクスの本の内容を元に、デンマークの古代史(伝承)を紹介しているようなサイトに行くと、フロド王などという名前がでてきたりするんですよ。最初にNZに向かう飛行機の中で、初めてLOTRの原作を読みながら、「これはとてもなじみのある世界だと思った」とヴィゴが言っているのもうなずけます。自分の身を犠牲にしても誓いを守る、だとか、盾持つ乙女だとか、LOTRに共通する北欧伝承の一端が窺える話でした。

Estel さん、ありがとう!

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Viggo Mortensen」カテゴリの記事

コメント

日本人のestelです。というより偽estelかな?(笑)
その1はforumで読んだのですが、その2のはさらにおもしろかったです。日本語だからわかりやすかったですし。私も、盾持つ乙女のところで、おおっ!と思いました。ありがとうございました♪
Viggoという名前は、Haroldのようなgoofy nameだ(ごめん、ハロルド)って、何かのインタビューで本人が言ってませんでしたっけ?(笑)どうして、どうして、立派な名前です。
サーガも読まなくてはなりませんね。その前にSEEですか。(笑)

投稿: estel | 2005.02.01 21:00

>日本のestelさん(笑)
Estelという名前は、やはり人気があるようですね。
ヴィゴ自身、Viggoっていう名前には結構、誇りがあるんだと思うんですよ。
ハリウッドで、そんな名前じゃなくて、もっと覚えやすい芸名をつけたら、と言われたって無視したぐらいなんですから。goofy だなんて(笑)
いまや、Viggoという名前は cool だと言ってる人たちがたくさんいるのに。

投稿: punkt | 2005.02.02 09:48

名前の由来面白かったです! キリスト教圏の名前は聖書から取ったのだとばかり思っていたので、驚きました。

「Viggo」は日本でいうと「武」とか「闘」とかいった感じですかね。随分勇ましくご立派なお名前で…(@@;)

そして、英雄にちなんでいるということは、「武(たける)」がしっくり来るのかしら。うぅ。日本名にすると、なんだか背中が痒いです…w (←勝手にやったくせに失敬な)

そういえば彼の当たり役「Aragorn」も、勇ましい意味らしいですね。http://www5e.biglobe.ne.jp/~midearth/up/am/ara.htm

ニュアンスなど多少は違うのでしょうが、良く出来た偶然ですね(^^)

投稿: 通りすがりの菌類 | 2005.02.02 11:28

>通りすがりの菌類さん
私も、ヤマトタケルの武かなぁ?と勝手に日本語名を考えてましたが、同じですね。(笑)
Aragornの名前の意味を追求しているサイト、とっても面白かったです。
素敵なページを教えてくださってありがとうございます。

投稿: punkt | 2005.02.02 22:04

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